食前酒にはどんな効果がある?食前酒の種類や選び方を解説!

日本酒

レストランによっては、料理が出される前に少量のお酒を提供するお店があります。

このお酒はいわゆる「食前酒」と呼ばれるお酒で、18世紀後半から19世紀のフランスやイタリアで始まったとされる文化です。

さまざまな効果がある食前酒ですが、その意味や目的、自宅での活用方法などが分からないといった方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、食前酒が持つ効果や種類、選び方、食事や食後酒との合わせ方などをご紹介します。

食前酒とは

刺身と日本酒
食前酒とは、パーティや食事が始まる前に提供されるお酒のことです。食前酒はフランス語の「アペリティフ」という言葉を日本語に意訳したもので、アペリティフは「食欲をそそる」という意味を持ちます。

このアペリティフは、「開く」を意味する「aperire」というラテン語の単語が語源といわれており、中国では「開胃酒」と呼ばれています。

食前酒はパーティや食事が始まる前に提供され、その後のパーティを楽しめるようにという主催者の気遣いの表れです。

ちなみに、フランスにおけるアペリティフにはお酒だけではなく、「食事の前に集まって楽しむ飲み物やおやつ」のほか、「食前に楽しむ時間」といった、より広い意味を持ちます。

ヨーロッパでは食事の流儀として浸透している

ヨーロッパにおいて、食前酒は食事を盛り上げるために用意されるものであり、食前にアルコールを摂取するのが流儀として浸透しています。

そのため、ヨーロッパではいきなりレストランで食事を始めるのではなく、パブやバーなどで食前酒を一杯飲んでからレストランに向かう、という流れが一般的です。

また、パーティだけではなく自宅で食事を摂る際も、帰宅前にどこかで一杯たしなんでから帰宅する方も多くいます。

食前酒にはどんな効果がある?

効果とはてな
食前酒には、食事の流儀として定着している以外にもさまざまな効果があります。

具体的にどのような効果があるのか、確認していきましょう。

食欲を増進させる

食前酒には胃の働きを活発にし、食欲を増進させる効果があります。

お酒が好きな方のなかには、飲酒したあとに締めのラーメンを食べたくなったことがある方も多いのではないでしょうか。

これはアルコールが持つ食欲増進効果が作用しているためであり、アルコールが胃の動きを刺激し、空腹感を増すことが要因です。

また、食前酒には唾液や胃液といった消化液の分泌促進効果もあるため、食べ物などを消化しやすくなります。

特に、シャンパンなどのスパークリングワインや梅酒といった、酸味が強いお酒を食前酒として飲むと、一層の食欲増進効果が期待できます。

夏バテなどのために食欲が落ちている方は、少し酸味があるお酒を食前酒として飲んでみてはいかがでしょうか。

会話を弾ませる

お酒を飲むと場の雰囲気が盛り上がりやすくなったり、会話が弾みやすくなったりします。

これはお酒によって気分が高揚することが要因で、これまで話しにくかった状態でも、大らかな気持ちで、話しがしやすくなるためです。

また、食前酒には炭酸が含まれているお酒が提供されることが多いです。
炭酸に含まれる二酸化炭素は粘膜や皮膚を通過する物質であり、胃の粘膜の下にある血管を拡大させます。

血管が拡大することで、少量のアルコールであっても気持ちと体の緊張をほぐしてくれるスピードがはやくなります。
商談やプロポーズなど、真剣かつコミュニケーションが必要な場でも、ごく少量の食前酒で場の空気を和らげてみるのはいかがでしょうか。

食前酒の種類を紹介

複数のグラスワイン
一言で食前酒といっても、料理やお店によってさまざまなものがあります。

ここでは、一般的に食前酒として使われるお酒の種類をご紹介します。

ワイン系

日本のレストランでは、ミモザやキールといった、白ワインベースの食前酒が提供されるケースが多くみられます。

ミモザはシャンパンベースのカクテルで、オレンジジュースで割られているためお酒が苦手な方でも飲みやすい点が特徴です。

キールは白ワインにカシスリキュールを加えたもので、さっぱりとして飲みやすい食前酒です。

ソーダ系

ジントニックやカンパリソーダなどのソーダ系のお酒も食前酒としてよく使われています。

ジンは、醸造酒のアルコール分を蒸留して作られる蒸留酒(スピリッツ)に香草・薬草類を加えて再蒸留したお酒です。

カンパリとは苦みがあるタイプのリキュールで、1860年のイタリア ミラノにてガスパーレ・カンパリ氏が製造したお酒です。

食前酒にはお酒の効きを速めてくれる炭酸が含まれるソーダ系のお酒がよく使われる傾向にあります。

シャンパン

シャンパンは、結婚式や創立記念日といったパーティで出される食前酒といったイメージの方も多いかもしれません。

シャンパンはスパークリングワインの一種で、フランスのシャンパーニュ地方で作られたスパークリングワインを指します。

自宅でちょっと贅沢を味わいたい方は、シャンパンを食前酒として選ぶのはいかがでしょうか。

ビール

食前酒にビールと聞くと意外に思われる方も多いかもしれませんが、実際に、ビールは場所やシーンを問わず多くの店舗や家庭で食前酒として活用されています。

先述したワイン系やソーダ系、シャンパンと比べると安価で、気軽に購入できる点が特徴です。

独特の苦みがありますが、近頃はクラフトビールブームの影響もあり、フルーティなビールも選べるお店が増えています。

食前酒を選ぶポイント

pointとペン
食前酒にはさまざまなメリットがありますが、実際にはどのように選べば良いのでしょうか。

こちらでは、食前酒を選ぶポイントをご紹介します。

アルコール度数が低いものを選ぶ

食前酒の目的は、食欲を促進する、会話を弾ませることです。

そのため、食前にアルコール度数が高過ぎるお酒を選ぶと、酔いが回ったり、出される料理とのバランスを損ねたりする可能性があります。

ヨーロッパなどではアルコール度数が40%以上のマティーニなどが選ばれることがありますが、マティーニはアルコールが強い人に向けたお酒のため、全員が飲めるわけではありません。
そのため、先述したシャンパンやビールのように、アルコール度数が高くないお酒を選びましょう。

甘さ控えめなものを選ぶ

食事前に甘いお酒や強い度数のお酒を飲むと、あとから出される料理がおいしくなくなることがあります。

また、甘いお酒を飲むと満腹中枢が刺激されることもあるため、注意が必要です。

食前酒には甘さが控えめで後味がすっきりとしている、そして少しの苦みや酸味があるお酒を選びましょう。

先述したワイン系、ソーダ系、シャンパン、ビールは甘さが控えめで、苦みや酸味が特徴のお酒となっています。

お酒を選ぶ際、提供される料理も含めて検討することが重要です。

食事のシーンにあったお酒を選ぶ

食前酒にはそのあとの料理を楽しんだり、会話を弾ませたりといった目的がありますが、いつでも、どのようなお酒でもいいわけではありません。

たとえば、ビジネスシーンではシャンパンなどの少し上品なお酒を選ぶ、デートなど私用の際は炭酸系カクテルなどカジュアルなお酒を選ぶといった使い分けが必要でしょう。

また、料理の品数が多い場合は、炭酸量が少ない食前酒を選べば料理の邪魔になりません。

そのほかにも、提供されるコースや料理などによって、その場に合った最適な食前酒を選ぶことが重要です。

【料理別】おすすめの食前酒を紹介!

たくさんの料理
これまでは食前酒の選び方をご紹介しましたが、実際にどの料理にどの食前酒が適しているのかが分からない方も多いでしょう。

ここでは、おすすめの食前酒を料理別に紹介します。

和食には梅酒やスパークリング日本酒

和食におすすめの食前酒は、日本独特のお酒である梅酒や、日本酒に炭酸を含んだスパークリング日本酒です。

通常の日本酒では度数が高いと感じる方でも、スパークリング日本酒であれば比較的飲みやすく、女性からの人気も高くなっています。

梅酒は酸味のほかにも適度な甘味、旨味などのバランスがよく、こちらもお酒が苦手な方や女性からの高い支持を得ているお酒です。

また、梅酒やスパークリング日本酒を食事中・食後にたしなむ方も多くいます。
和食のほかにも、その土地の料理にはその土地のお酒が合う傾向にあるため、食前酒選びに悩んでいる方はその土地で作られた日本酒を選んでみるのもおすすめです。

イタリア料理ならビールかワイン

イタリア料理の食前酒にはビールやカクテルがおすすめです。ビールはクセが少ないペールエールタイプ、カクテルの場合はソーダで割ったジントニックや、スプモーニが多くの方に選ばれています。

イタリア料理の特徴は、酸味とうまみがしっかりしていることです。
コースには食前酒とそれに合わせて出されるおつまみの「ストゥッツィーノ」、前菜の「アンティパスト」などがあります。しっかりとしたお店のコースでは9種類の料理が出されることもあります。

甘味が強いお酒を選んでしまうと、そのあとに出される料理が「少ししつこいかも」と感じてしまうかもしれません。

イタリア料理は味が濃いメニューが多いため、料理の邪魔をしないように軽めのお酒を選ぶことがポイントです。

フランス料理ならスパークリングワインやシェリー酒

フランス料理に合う食前酒は、スパークリングワインやシェリー酒です。

スパークリングワインは通常のワインよりもアルコール度数が低く、炭酸が含まれているため男女ともに人気が高い食前酒です。

シェリー酒は白ブドウから醸造されるワインで、スッキリとした飲み口が特徴です。

そのため、味が濃い料理が多いフランス料理の食前酒としては最適で、その後の料理もおいしく楽しめることでしょう。

ただし、シェリー酒はアルコール度数が高いため、お酒が苦手な人には向いていない可能性があります。

また、フランス料理ではそのあとに出される料理によって、辛口の白ワイン→軽い赤ワイン→重い赤ワイン→甘口のワインの流れがマッチする場合も多いことを覚えておきましょう。

食前酒だけでなく「食後酒」もある

完食した皿
食前・食間に飲むお酒があれば、食後に飲む「食後酒」と呼ばれるお酒もあります。

こちらでは、食後酒とはどのようなものなのか、食後酒としておすすめのお酒について詳しくご説明します。

食後酒とは?

食後酒は食後に楽しむお酒で、そのあとに料理が出されないことから高い満足感を得られるお酒が選ばれます。

食後酒もフランス発祥の文化であり、フランス国民の間では食後にお酒を飲むことが生活の一部となっています。

食後酒には、食後の胃にさらなる満足感を与え、消化を促すという役割があり、食後のデザートと一緒に食後酒を楽しめる店舗もあります。

日本料理でいう「アガリ」に位置するお酒で、一息ついて食事を締める流れが一般的です。

そのため、食後酒に選ばれるお酒は度数が高い蒸留酒やショートカクテルといった、少量で味わいが濃いお酒を選ぶ傾向にあります。

食後酒としておすすめなお酒

食後酒として多くの人に選ばれているお酒には、先にも紹介したように、度数が高い蒸留酒や甘めのほいんなどが選ばれる傾向にあります。

具体的には、甘口のデザートワインやショートカクテルなどがあります。食後にはマティーニのようなドライな味わいのものではなく、甘みのあるカクテルがおすすめです。

また、ブランデーやラム酒、ウィスキーといった蒸留酒も食後酒としてよく飲まれています。

甘みがあって濃厚な蒸留酒は、デザートを食べているような満足感が味わえて、食事の最後には特におすすめのお酒です。

今まで食後酒を飲んだことがない方は、一度試してみてはいかがでしょうか?

食前酒を取り入れて食事を楽しもう

御馳走とワイン
今回は、食前酒の効果や選び方などについてご紹介しました。

食前酒には食欲の増進や会話を弾ませるといった効果があります。

食前酒を選ぶポイントとしては、アルコール度数が低く甘味が抑えられており、食事に合ったお酒をセレクトすることが重要です。
そのため、和食には梅酒や日本酒、イタリア料理にはビールやワインなど、その土地や国で製造されたお酒が選ばれる傾向にあります。

また、食後に楽しむお酒は、満腹感を楽しみながら気持ちよく食事を締めるために、少量で高い満足度を得られるお酒が選ばれます。

料理やシチュエーションに合った食前酒・食後酒を選んで、お酒も料理も楽しみましょう。

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