お酒に関することわざ23選!「酒は百楽の長」って本当?

日本酒

「酒は百楽の長」といったお酒に関することわざは、日本に多く存在しますが「聞いたことはあるけど意味は知らない」という方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、お酒にまつわることわざを23つ、その意味や歴史、使い方などもまじえてご紹介します。

あわせて、世界で使われているお酒に関することわざもご紹介しますので、ぜひお酒の場でのネタ話に活用ください。

お酒に関する有名なことわざ3選

白い徳利とお猪口

特別にお酒が好きではなくとも、お酒に関することわざを聞いたことがある方は多いでしょう。

ここでは、特に有名な3つのことわざについて、意味や使い方を紹介していきます。

酒は百薬の長

「酒は百薬の長」とは「適量のお酒はどんな薬よりも優れている」という意味のことわざです。

このことわざの歴史はとても古く、現在の中国が漢と呼ばれている頃までさかのぼります。当時に書かれたとされる漢書・食貨志下の中に、「夫れ塩は食肴の将、酒は百薬の長、嘉会の好、鉄は田農の本」と記述されています。

お酒の飲みすぎを指摘されたときの言い訳としてよく使われますが、お酒を飲む量が「適量」でなければ、かえって健康リスクがでてしまうことを忘れてはいけません。

実際の使用例は以下のとおりです。

「『酒は百薬の長』だから、飲まずにストレスを感じるくらいなら、適量を飲むほうが体にもいいよ。」

お酒は本当に「百薬の長」なの?

ちょっと飲み過ぎてしまうと、つらい二日酔いを招くおそれがあるお酒は、本当に「百薬の長」と言えるのでしょうか?

確かに、お酒は血のめぐりをよくすることから、さまざまな効果が期待できます。ストレスの軽減にもつながる可能性があるでしょう。

しかし、いくらでも飲んでもよいわけではなく、適量を守らなければなりません。お酒を飲み過ぎると肝臓に大きな負担がかかり、生活習慣病を引き起こすリスクが高まります。また、人によっては少量でも健康を害する危険性があります。

飲酒は「万病のもと」にもなりかねないことを、しっかりと覚えておきましょう。

酒は飲むとも飲まるるな

「酒は飲むとも飲まるるな」ということわざもお酒の席でよく耳にする言葉ではないでしょうか。「お酒を飲むこと自体は悪くないが、飲み過ぎで理性を失くして周りの人に迷惑をかけたり、かっこ悪い姿をさらしたりすることはよくない」という意味のことわざです。

お酒を飲みすぎている人をたしなめるときによく使われます。

実際の使い方は以下のとおりです。
「楽しんでるのはいいけど、『酒は飲むとも飲まるるな』だよ。後悔するかもしれないから気を付けて」

酒は憂いの玉箒(たまははき)

「酒は憂いの玉箒」とは、お酒は悩みごとをきれいに取り払ってくれるほうきのようなもの、つまり「お酒を飲むと、嫌なことをきれいさっぱり忘れられる」という意味があります。
「憂い」は、つらいことや心配ごとを意味する言葉、玉はきれいなものを表し、箒は「ほうき」のことです。

実際に「お酒を飲めば悩みや嫌なことを忘れられる」という方も多いのではないでしょうか。

使い方の例は以下のとおりです。
「今日は大変だったけど、さすが『酒は憂いの玉箒』。これで明日も頑張れそうだ。」

【20選】お酒に関するその他のことわざを一挙紹介

居酒屋でスマホを片手に人差し指をたてる女性

お酒関連のことわざはまだまだたくさんあります。どれくらい知っているか数えるのも楽しいですし、お酒の席で披露してみてもおもしろいでしょう。

ここでは、お酒に関するその他のことわざを20個紹介します。

酒は天の美禄

「酒は天の美禄」の禄(ろく)は、日常生活では聞かない言葉ですが、昔の役人に対して与えていた報酬を指します。つまり、お酒は天から与えられた素晴らしい報酬のようなものだと、お酒のことを褒めちぎるようなことわざです。

「こんなにおいしいものがあるなんて、本当に『酒は天の美禄』だな。」のように使ってみましょう。

酒飲み本性違わず

「酒飲本性違わず」とは、どれだけ飲んでもお酒で本性が変わることはないという意味のことわざです。お酒を飲んで酔っぱらってしまうと、普段とは違う一面が見えることがありますが、元々がそのような人だということです。

同じ意味を持つことわざに、「酒酔い、本性たがわず」や「上戸、本性違わず」もあります。酔っぱらっているときほど、その人の本来の姿が出やすくなるため気をつけましょう。

酒なくて何の己が桜かな

桜を眺めながら、みんなでお酒を飲むお花見は、楽しい春の一大イベントでしょう。「酒なくて何の己が桜かな」は、お酒がなかったら、桜があっても楽しくないという意味があります。「桜の美しさよりもお酒がよい」と言っているため、花より団子と似たことわざとなります。

酒は百毒の長

「酒は百毒の長」とは、お酒が体に悪いことを表すことわざです。「酒は百薬の長」と反対の意味を持つことわざとして作られました。

ついつい飲みすぎてしまう人にとっては、百薬の長ではなく百毒の長となってしまうおそれがあります。あくまでも適切な飲み方を心がけましょう。

人酒を飲む、酒酒を飲む、酒人を飲む

「人酒を飲む、酒酒を飲む、酒人を飲む」とは、最初のうちは自分をコントロールしながら酒を飲んでいるが、少しずつ抑制できなくなり、最終的にはお酒に飲まれてしまうという意味合いのことわざです。思い当たる経験がある方も多いのではないでしょうか。

「そろそろ止めておいたら。『人酒を飲む、酒酒を飲む、酒人を飲む』って言うよ。」のように、お酒を飲みすぎている人をたしなめるときに使います。

酒は飲むべし飲まれるべからず

「酒は飲むべし飲まれるべからず」とは、お酒はほどよく飲むべきで、飲みすぎてはいけないという戒めの言葉です。「酒は飲むとも飲まるるな」と同じ意味を持つことから、お酒を飲みすぎて失敗してしまう人は、昔からとても多かった様子がうかがえます。

楽しいお酒の席ほど、適量にとどめることは困難ですが、せっかくの楽しい時間を台無しにしないようにしましょう。

酒に十の徳あり

「酒に十の徳あり」とは、お酒には10個のメリットがあるという意味のことわざです。

具体的には、「百薬の長」「延命長寿」「旅行の楽しみ」「体があたたまる」「お土産に喜ばれる」「つらいことを忘れられる」「普段は関わり合えないような人に会える」「仕事の助けとなる」「誰とでも仲良くなれる」「一人でも楽しくすごせる」というメリットがあることを表しています。

酒は詩を釣る針

「酒は詩を釣る針」とは、お酒を飲むと気持ちが落ち着き、よい詩を思いつきやすくなるということわざです。つまり、何かに行き詰まってしまったときはお酒を飲むとよい、といった意味があります。

昔は詩を詠むことが貴族の間では当たり前でしたが、詩を詠む習慣がほとんどない現代人に即して考えると、「よい考えが思いつく」という意味にも取れるでしょう。

後ろに柱前に酒

「後ろに柱前に酒」とは、お酒を飲むときは、とても快適な気分になれることを表すことわざです。

仕事のときのように緊張して直立しているのではなく、柱にダラッともたれかかってお酒を飲んでいるのは気楽な状態であることが由来となっています。

朝酒は門田を売っても飲め

「朝酒は門田を売っても飲め」とは、田んぼは主食である米を確保するために重要な資産ですが、それを売り払ってでも朝は酒を飲んだほうがよいという意味があります。門田(かどた)は、家のすぐ目の前にある田んぼのことです。

つまり、貴重な田んぼを売ってでも飲みたいと考えるほど、朝に飲むお酒が格別においしいということを意味します。

仕事がない休日には、朝からお酒を飲む日があってもいいかもしれませんが、飲む量はほどほどにしておきましょう。

斗酒なお辞せず

斗とは、18リットルのことです。コーラなどの大きなペットボトルが1.8リットル(1升)のため、10本分のお酒が斗酒(としゅ)になります。「斗酒なお辞せず」とは、それだけのお酒を飲んでも、まだまだ辞めずに飲むことから、大量のお酒を飲むという意味です。ビールの500ml缶でいうと36本分ですが、あくまでも「大量」であることを表しています。

実際にそれだけ飲める人は少ないかもしれませんが「お酒は適量」がベストなため、飲みすぎには注意が必要ですよ。

友と酒は古いほどいい

「友と酒は古いほどいい」とは、付き合いの短い友人よりも、長年ずっと一緒にいる友だちのほうが、気心が知れていてよいというものです。それと同じように、お酒も長い年月をかけて寝かせておいたほうがおいしいという意味があります。

長期熟成のワインやウイスキーなど、年代物のお酒が高値で取引されていることも納得できることわざと言えるでしょう。

親の意見と冷や酒は後で利く

「親の意見と冷や酒は後で利く」とは、よく冷えたお酒は飲みやすいため、つい飲み過ぎてしまい、あとから思った以上に酔いがまわってしまうという意味です。

普段から口うるさく小言を言われていると、親からのアドバイスはつい流してしまいがちです。しかし、子どもよりも人生経験が豊富な親の言葉があとから思い出されて「あのとき言われたことを素直に聞いておけばよかった」と後悔した経験がある方も多いのではないでしょうか。

酒は命を削る鉋(かんな)

鉋(かんな)は、大工さんが使っている、木材の表面を薄く削って表面を滑らかに整える道具です。鰹節を削るときにも使われます。「酒は命を削る鉋」とは、お酒を毎日のように飲み過ぎていると、鉋で木材を削るようにほんの少しずつ、しかし確実に健康状態が悪くなっていくことを表す言葉です。

お酒は適量を守っていれば健康リスクを避けられますので、飲みすぎにはくれぐれも注意しましょう。

酒に別腸あり

「酒に別腸あり」とは、お酒を飲む量に体の大小は関係がないことから、人体にはお酒を吸収する別の腸があるという意味です。

ちなみに、アルコールは腸ではなく胃から吸収されるため、水よりも吸収が早く飲める量も多くなります。

一杯目は健康のため、二杯目は喜び、三杯目は心地よさ、四杯目は愚かさのため

「一杯目は健康のため、二杯目は喜び、三杯目は心地よさ、四杯目は愚かさのため」とは、適量を飲んでいるうちは健康によいだけではなく、気分がよくなりリラックスもできるが、飲み過ぎると酒に飲まれてしまい後悔するという意味のことわざです。

人によってお酒に対する強さは違うため、実際には4杯目で理性を失くすわけではありませんが、自分の適量を把握して飲むことが大切です。

酒盗人は色にあらわれ、伽羅盗人は香にあらわれる

「酒盗人は色にあらわれ、伽羅盗人は香にあらわれる」とは、悪いことをしたら、すぐにバレてしまうのでやめておきましょうという意味のことわざです。

お酒を盗んだ人は、もちろん盗んだお酒を飲むため、酔いがまわると顔色にあらわれてバレてしまいます。伽羅(きゃら)とは、独特の匂いを持つ、香りを楽しむための木片(香木)のことです。

新しい酒は新しい革袋に盛れ

「新しい酒は新しい革袋に盛れ」とは、新しい考えを表現するためには、新しい様式や環境が必要であるという意味です。新しいお酒を古い革袋に入れてしまうと袋が裂けて、お酒も革袋も台無しになってしまうことが起源となっています。

キリスト教に関係のあることわざで、新しい酒とは、ユダヤ教に代わって広まり始めたキリスト教のことを意味しています。新しい考えを受け入れるためには、古い考えを改めなければならないという意味もふくまれています。

林間に酒を煖めて紅葉を焼く

美しい景色を眺めながらのお酒は、とてもおいしく感じるものです。「林間に酒を煖めて紅葉を焼く」とは、肌寒くなってきた秋の林で、落ち葉をかき集めて火をおこし、その火で温めたお酒で寒さをしのぎながら紅葉を楽しむのは格別だという意味があります。

お酒の楽しみ方を教えてくれることわざとなっています。

酒は酒屋、餅は餅屋

「酒は酒屋、餅は餅屋」とは、なにごとも、その道のプロに任せるのが一番よいという意味のことわざです。

現代では便利なものが増えているため、プロに任せなくてよいケースも多くあります。しかし、安く済ませようとして自己判断で行うと、逆に事態を悪化させてしまうおそれもあります。

素人判断で勝手なことをせず、専門家に任せた方が失敗せずに済むと、昔の人も考えていたことがよくわかることわざです。

世界のお酒に関することわざを紹介!

世界地図と群がる人々(粘土アート)

これまで紹介したように、日本国内にはお酒にまつわることわざが多く存在します。

しかし、世界各地には、日本とは違った趣のことわざもあるようです。お酒に関する世界のことわざを見ていきましょう。

ワインに関する世界のことわざ

日本でも多くの人に親しまれているワイン。ワインの発祥地として、フランスをイメージする方も多いでしょう。

フランスには、「ブドウ畑と美人には手がかかる」「可愛げのない美人は、劣化したワインのようなものだ」のように、女性とワインの似ているところを表現したことわざがあります。フランスでは、ワインが当たり前のように身の回りにあることが伺えます。

また、「肉は体を作り、パンは腹を満たし、ワインは踊りを躍らせる」も有名なフレーズです。日本と同じように、お酒は気分をよくするものだと考えられています。

なお、フランスと並ぶワインの国としてイタリアがあります。イタリアにも「ワインあるところに沈黙なし」「ワイン無しの食卓は花の咲かぬ畑の如し」といったことわざがあり、お酒が食卓や会話を盛り上げてくれる存在であることは、世界の共通認識と言えるでしょう。

ビールに関する世界のことわざ

ビールの本場とも言えるドイツには、「ビール1本と塩づけキャベツは医者から金貨を奪いとる」ということわざがあります。「酒は百薬の長」と同じような意味を持つことわざが、世界にも存在しているのですね。

また、「朝、昼、晩、夜、汝はビールをのむべし。然らずんば軽蔑されん」という独特なことわざもあります。日本では、一日中お酒を飲んでいると批判されそうですが、ビール好きが多いドイツならではの格言と言えるでしょう。

文化が違えば、ことわざから得られる教えにも大きな違いが出ることがわかります。

お酒に関することわざを知って適量の飲酒を心がけよう

もっきり

日本や世界各地に存在する、お酒にまつわることわざを紹介しました。

ことわざは、普段はあまり使う機会がありませんが、意味を知ることで多くの学びを得られます。ことわざから得られる教訓をもとに、正しい飲み方でお酒を楽しみましょう。

また、世界中のことわざを調べてみると、異文化に触れるきっかけとなり、お酒をより楽しめますよ。

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