日本酒を割って飲みたい、と思ったことはありませんか?
本当は度数を下げて飲みやすくしたいけれど、味が落ちてしまったり、日本酒通の方に飲み方を指摘されてしまったりしそうで、戸惑っている方も多いでしょう。
実は、日本酒は割っても美味しいお酒として、色んな割り方で楽しまれています。
この記事では、日本酒を割っても美味しく飲める理由をはじめ、王道の割り方や意外性のある割り方などについて紹介します。
色んな日本酒の割り方を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
日本酒を割って飲んでも美味しい?
日本酒を割ると味が落ちるのではないかと、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは日本酒を割っても味が落ちない理由と、割って飲むメリットを説明します。
そもそも日本酒は水で割られている
日本酒はラベルに「原酒」と書かれている銘柄以外は、製造過程においてアルコール度数や香り、味わいを調整するために「割水」という加水作業を行っています。
インターネットや店頭で販売されている一般的な日本酒には、原酒全体に対して3割程度の水がすでに足されているのです。
このように、日本酒の多くはすでに水で割られてから販売されているため、日本酒を割って飲むことは決して邪道ではなく、銘柄本来の魅力が損なわれる心配もありません。
割ることでいろいろな味わいを楽しめる
日本酒をさまざまな割材で割ると、元々の味わいに変化を付けられます。
サワーやチューハイとして楽しまれている焼酎をイメージすると分かりやすいでしょう。
割材の風味や温度、発泡の有無などによって日本酒の味わいは大きく変わります。正しい割り方を覚えると、一本の日本酒でいろいろなテイストを楽しめます。
また、アルコール度数も下がるため、お酒にあまり強くない方も試しやすくなります。
今まで日本酒をなんとなく苦手だと感じていた方も、割ることで飲みやすく感じる方もいるかもしれません。
日本酒の王道の割り方3選
まずは日本酒の割り方の中でも王道とされている、水割り・お湯割り・オンザロック、3つのパターンを紹介します。
どの飲み方でも日本酒を美味しく楽しめますので、ぜひ参考にしてください。
水割り
日本酒の水割りは、スッキリとした味わいと軽やかなのど越しが楽しめます。そのため、夏場は特に人気です。
日本酒の風味を残したまま、アルコールの刺激が薄まって飲みやすくなるため、初心者にもおすすめしたい飲み方です。
水割りにするときは、日本酒8割に対して水を2割加えてください。味わいがまろやかになるため、5~8度の軟水を使用するのがベストです。
また、日本酒の温度に合わせた水を加えるのも大切なポイント。
冷たい日本酒には冷たい水を、常温の日本酒には常温の水を足せば、温度の違いが生みだす風味の変化をより堪能できるでしょう。
お湯割り
日本酒は温度が上がると風味が際立つため、お湯割りは日本酒の香りを楽しみたい方にぴったりの飲み方です。
飲むと身体も温まり、特に冬場に愛されています。度数が下がるため、日本酒ビギナーにも飲みやすいスタイルです。
お湯で薄まる分カロリーも下がるため、忘年会や新年会が続いて太りやすい時期にも向いています。
日本酒8割にお湯2割をブレンドするのが、作り方の基本です。先に50度くらいのお湯を耐熱ガラスに入れて、そのあとに日本酒を注いでください。
オンザロック
冷たい日本酒が飲みたいなら、オンザロックがおすすめです。
氷が溶けるまでは日本酒本来の風味を楽しめ、溶けたあとは飲みやすい味わいに変化します。
オンザロックは加水されていない原酒や、火入れをしていない生酒との相性が良いとされています。
特に夏に人気のある飲み方で、夏酒を飲む際には、オンザロックを推奨している酒蔵もあるほど。
オンザロックで飲むときは、天然水で作られた大きめの氷を使うと良いでしょう。雑味が生じないため、日本酒本来の味を存分に堪能できます。
意外だけど試してみたくなる日本酒の割り方9選
王道の割り方をマスターすると、日本酒のいろいろな飲み方にもチャレンジしたくなりますよね。
ここでは日本酒の楽しみ方を広げてくれる、意外性があって試してみたくなる割り方を紹介します。日本酒が持つさまざまな一面に触れられますよ。
ソーダ割
爽快感を楽しみたいなら、のど越しが魅力のソーダ割りを試してみましょう。甘さを求めるなら加糖タイプを、きりっとした爽やかなテイストが好みなら無糖タイプを使ってください。
ソーダ水と日本酒を1対1で割るのがベーシックなスタイルです。
ソーダ水以外にもコーラやジンジャーエール、レモンソーダなどさまざまな割材を試してみてください。それぞれ独自の甘みや風味があるため、自分好みの味わいを追求できます。
カクテルのようにいろいろな味や色合いを楽しめるのも特長です。
牛乳割り
「日本酒がヨーグルトのような味わいになる」と評判を集めているのが牛乳割りです。
日本酒と乳製品の相性は良いと言われており、牛乳割りは飲み口がまろやかになって、ビギナーから日本酒通まで幅広い方が美味しいと感じるでしょう。
日本酒と牛乳を1対1でブレンドするのが美味しい割り方です。レモンを入れてラッシー風にしたり、コーヒーも入れてコーヒー牛乳風にしたり、アレンジの幅が広いのも魅力です。
「興味があるけど牛乳は苦手」という方は、豆乳割りにトライしてみてください。砂糖を加えると、より飲みやすくなります。
お茶割り
日本酒にお茶のさっぱりとした風味を加えたいなら、お茶割りにチャレンジしてください。
お茶には日本酒特有の香りを和らげる作用があるため、日本酒に苦手意識がある方にもおすすめしたい割り方です。
日本酒の澄んだ味わいと、お茶らしい上品さのどちらも楽しめます。暑い日にはホット、寒い日にはアイスと、気候に合わせられるのもお茶割りの魅力です。
緑茶と1対1のバランスで割るのが基本ですが、好みに合わせてジャスミンティー・紅茶・ほうじ茶・ウーロン茶を使うのもおすすめです。
さまざまな組み合わせを試すことで、自分だけの一杯を追い求められます。
カルピス割り
多くの日本人が子供のころから慣れ親しんでいるカルピスも、日本酒と相性が良い割材です。日本酒は製造過程で乳酸菌を使用しているため、カルピスと違和感なく混ざり合い、とても飲みやすくなります。
日本酒8に対してカルピスの原液2がおすすめですが、好みに合わせて調整してみてください。お酒っぽい風味が苦手な方は、もう少しカルピスを増やしてもいいでしょう。
トッピングでレモンやいちごを添えたり、オレンジジュースなどを加えたりして、見た目や味わいに独自のこだわりを持てるのも魅力です。
ビール割り
日本酒をアルコールで割る飲み方の代表例として、ビール割りが挙げられます。
日本酒の澄んだ甘さとホップから生まれるビールの苦みが程よくブレンドされ、とても飲みやすい味わいに仕上がります。アルコール度数はあまり下がらないため、お酒に慣れている方向きの割り方です。
まずは1対1で割ってみて、自分の好みに合わせて少しずつバランスを調整してください。
また、ビール割りは海外では「Sake Bomb(サケボム)」というカクテル名で親しまれています。
甘酒割り
甘めのどぶろくや、濃いにごり酒に近い感覚で飲めるのが甘酒割りです。
甘酒と日本酒はどちらも日本伝統の飲み物であり、相性は抜群です。甘みのあるテイストですが、ベタベタした質感が口に残らずスッキリ飲めるため、女性から支持を集めています。
アルコールが苦手な方にとっても、甘酒割りは飲みやすい割り方です。
最初は日本酒と甘酒を、氷を入れずに1対4で割ってみてください。そのあと、自分の好みに合わせて調整しましょう。
甘酒には酒粕と米麹を原料としたタイプがありますが、まずはどちらのタイプの日本酒も試してみるのがおすすめです。
コーヒー割り
個性的で味わい深いテイストを楽しめるのが、コーヒー割りです。コーヒー独特の苦みと日本酒の澄んだ甘みがブレンドされ、ほかにはない味わいになります。
作るときは日本酒とアイスコーヒーを1対4の割合で、氷入りのグラスに入れてください。
コーヒーの割合を多めにすると、コーヒーの持つビターな香りがより楽しめておすすめです。また、甘いコーヒーが好きな方は加糖タイプにもトライしてみましょう。
ホットコーヒーで割っても美味しいため、寒い時期にぜひ試してみてください。
出汁割り
日本酒の出汁割りも、意外ですが美味しい組み合わせです。
温かい出汁の旨味が口の中に広がったあと、日本酒が余韻として残るような、穏やかで優しい風味を感じられます。お好みで七味唐辛子を振りかけるのも良いでしょう。
割るときは日本酒と出汁を1対3または1対2にして、電子レンジで40~50度に温めてください。
出汁割りに使う日本酒は、純米酒など旨味が強いタイプがよく合います。温めても味が落ちない銘柄か、下調べをしておくのも忘れないでください。
昆布出汁や鰹節出汁がおすすめですが、最初はコンビニで購入したおでんについている出汁などで試してみてはいかがでしょうか。
トマトジュース割り
日本酒のトマトジュース割りというと、意外な組み合わせだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、レッドサンというカクテルとしても知られています。
トマトジュースで割るとアルコール度数が下がり、苦みも控えめになってお酒が苦手な方にも優しい飲み口になります。
また、混ぜるだけで簡単に作れるのも嬉しいポイントです。トマトにはリコピンやビタミンなども含まれているため、健康意識の高い方にもおすすめです。
日本酒とトマトジュースを1対1で割るのが基本。トマトジュースのさっぱりとした風味と相性が良い、旨味の強い日本酒を用意してください。
割る以外に一味違う日本酒の楽しみ方を紹介!
日本酒には割る以外にも、さまざまな楽しみ方ができます。日本酒の可能性を感じさせる、意外な美味しさに出会える3つの楽しみ方を紹介します。
凍らせてシャーベットにする
「日本酒をシャーベット状にして飲む」という楽しみ方は「みぞれ酒」という別名でも知られており、シャーベットのようなシャキシャキとした食感と冷たい温度感が魅力です。まるでデザートのように日本酒を楽しめます。
作り方も簡単で、鉄製の容器に移した日本酒を冷蔵庫でしっかり冷やし、冷凍庫で90分ほど保管します。
十分に冷えたあと、冷凍庫で冷やしたグラスに少し高い位置から日本酒を注いでください。すると、過冷却によってグラスに注がれた日本酒が、シャーベット状に変化します。
シャーベット化するまでの過程を観察するのも面白いため、酒の席でも盛り上がります。
アイスに日本酒をかける
日本酒とアイスもぜひ試して欲しい組み合わせです。特にバニラアイスの甘みと、日本酒の味わいは相性が良くおすすめ。レーズンやチョコレートと一緒に日本酒をかけると、バニラアイスが大人向けのデザートに生まれ変わります。
また、発泡性の日本酒と合わせてクリームソーダのように楽しむのもおすすめです。
アイスクリームにかける日本酒には、ラベルなどに記されている「日本酒度」を参考にしながら、甘みの強いタイプを選んでください。
アイスクリームの甘みと相乗効果を起こして、上品で柔らかな風味を楽しめます。
日本酒カクテルを作る
カクテルを自分で作るのも、お酒の楽しみ方の一つですよね。
こちらでは、日本酒ベースのカクテルの中でも、作りやすくて美味しい定番カクテルを紹介します。
サムライロック
日本酒カクテルの代表格といえば、サムライロックです。日本酒60mlとライムシロップ10mlを、氷の入ったグラスに入れてかき混ぜれば完成です。グラスにライムを添えると見た目がぐっとおしゃれになります。
日本酒らしい凛とした風味にライムの酸味がマッチし、爽快感と深みのある味わいに仕上がります。ライムシロップの淡いグリーンが持つ透明感も魅力的。日本酒に苦手意識がある方にもぜひトライして欲しいカクテルです。
レッドサン
日本酒をトマトで割ったカクテルが、レッドサンです。作り方はとても簡単で、日本酒とトマトを1対1で割れば完成します。
トマトとお酒の組み合わせには、抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、ビールと合わせたレッドアイや、ウォッカと組み合わせたブラッディメアリーなど、誰もが一度は耳にしたことがある有名カクテルもトマトを使用しています。
トマトは美肌に効果があるとされているため、美容意識の高い方にもおすすめです。アルコール度数が低く、気軽に飲めるのも特長です。
サケマティーニ
カクテルの王様マティーニをアレンジし、日本酒とジンをベースにしたのがサケ・マティーニです。
氷の入ったミキシンググラスにジンと日本酒を3:1で入れ、そっとかき混ぜます。ミキシンググラスがない場合は、大きめのグラスを使用してください。良く混ぜたあと、冷やしておいたカクテルグラスに注げば完成です。レモンピールやオリーブで飾ると見た目もおしゃれになります。
日本酒もジンも風味豊かなお酒なため、両者が組み合わさることでより奥深い味わいを楽しめます。日本酒の風味を活かしたいなら、ジンはオーソドックスなテイストの銘柄を選んでください。
自分好みの味を追求していろいろな銘柄を組み合わせるのも、サケマティーニの楽しみ方です。
日本酒を割ってアレンジを楽しもう
日本酒を割って飲んでも美味しい理由や、日本酒の王道な割り方や意外性のある割り方について解説しました。
日本酒は敷居の高いイメージのせいか、決まった飲み方以外をしてはいけないと思い込んでいる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、日本酒はさまざまな飲み方を楽しめるお酒であり、いろいろな飲み方を探すのも日本酒の醍醐味の一つです。
この記事を参考に、自分に合った日本酒の飲み方を探してください。