休肝日の効果がでやすいのは週3日?メリットや過ごし方も紹介!

日本酒と健康

お酒は、「百薬の長(ひゃくやくのちょう)」と呼ばれます。適量飲酒であれば、ストレス発散などの健康によい効果をもたらします。

しかし、適量を超えた飲酒は、アルコール依存症や肝臓の病気を患う危険性があります。そのため、お酒と上手に付き合うには、休肝日を設けることが大切です。

この記事では、休肝日のメリットや、休肝日はどの程度の頻度でつくればいいのか、具体的な休肝日の日数について紹介します

休肝日について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

休肝日はなぜ必要なの?

はてなと医者
休肝日(きゅうかんび)とは、アルコールの分解で負担のかかる肝臓を守るためにお酒を飲まない日を設けることを推奨するために作られた造語です。

肝臓は、タンパク質や糖質、脂質の合成や分解をしたり、ミネラルやビタミンなどの栄養を貯蔵したり、有害物質の解毒・分解をしたり、食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌を行います。
それ以外にも、血液凝固なども担います。

このように肝臓はとても多機能で、ただでさえ重い負担がかかる臓器です。アルコールのおよそ90%は肝臓で分解されるので、大量のアルコールを摂取すれば肝臓の負担がさらに増加し、時には病気の原因になることもあります。

肝臓は「沈黙の臓器」と言われていて、異常が現れても痛みなどの症状があらわれにくいため、異常に気づいたときには病気が進行していることが少なくありません。

一方で、肝臓は再生能力にも優れています。そのため、ときどきお酒を飲まない日を設けて肝臓を休ませることで、肝機能を回復させたり病気になるリスクを下げたりすることが可能です。

アルコールは依存性があるため習慣的に飲酒をしているとアルコールに耐性がつき、飲酒量が増加する危険性があります。そのため休肝日を設け、意識的に肝臓を休ませることが大切です。

肝臓に効果的な休肝日の日数とは?

カレンダー休み
アルコールは肝臓に負担がかかるため、休肝日を設けて意識的に肝臓を休ませることが大切です。

週の中でお酒を飲まない曜日を決めておけば、休肝日を忘れにくくなりますし、リズムをつけやすくなるでしょう。では、休肝日は週に何日設けるのが適切なのか、確認していきましょう。

週に3日の休肝日が望ましい

結論から言うと、休肝日は週に3日以上設けるのが理想です。

厚生労働省の「多目的コホート研究」によれば、週に3日以上の休肝日があれば、総死亡リスク・がんによる死亡リスクの増加が抑制できると報告されています。

また、デンマークのコペンハーゲン大学病院が行い、欧州肝臓学会で発表された調査によると、アルコール性肝臓病を予防するためには、週に3日から5日の休肝日を設けるのが効果的だと判明しています。

肝臓で日本酒1合(180ml)分のアルコールを解毒するためには、個人差やその日の体調差がありますが約5時間かかるのが一般的です。

寝ている間は代謝に時間がかかるため、飲酒直後に眠る場合は肝臓に負担がかかる時間が長くなります。連日、長時間肝臓を酷使することのないよう留意することが必要です。

加えて、飲酒すると消化管の粘膜が荒れます。粘膜の修復のためにも、休肝日を設けることは重要となります。

休肝日があればいくら飲んでもいいわけではない

休肝日を設ければ、大量のアルコールを飲んでも肝臓に問題がないわけではありません。

「多目的コホート研究」を含めた多くの研究結果によれば、休肝日有無に関わらず、大量に飲酒すれば総死亡リスクは高まることがわかっています。そのため、休肝日を設けるだけでなく、飲酒量を適量に抑えることも重要です。

それでは、肝臓が対応できる以上の負担をかけないようにするには、どのぐらいのお酒が適量なのでしょうか。

厚生労働省が「健康日本21」で定めた基準によれば、お酒は純アルコール量に換算して1日あたり約20gが適量とされています。また、生活習慣病の発症リスクが高まる飲酒量は、純アルコール量が1日あたり40g以上、女性は20g以上です。

下記に1日に適量とされるお酒の量の目安をお酒の種類別にまとめましたので、飲みすぎないように注意しながらお酒を楽しみましょう。

【アルコール量の目安】

種類 度数 純アルコール量
日本酒1合(180ml) 15度 22g
ビール(500ml) 5度 20g
チューハイ(350ml) 7度 20g
ワイン2杯(240ml) 12度 23g
焼酎1杯(100ml) 25度 20g
ウイスキー2杯(60ml) 40度 19g

※アルコール度数により純アルコール量は変動します。

休肝日をつくる4つのメリット

メリットと書かれたブロック
休肝日を設けることには、以下の4つのメリットがあります。

  • アルコール依存症の予防
  • 病気のリスク逓減
  • お酒代の節約
  • ダイエット

それぞれについて解説します。

アルコール依存症の予防

休肝日を設けることは、アルコール依存症の予防に役立ちます。

アルコールには依存性があるので定期的に摂取すると、以前と同じ量や回数では満足できなくなります。お酒を継続的に飲み続ければ、次第に飲酒量や回数はエスカレートし、飲酒をやめにくくなります。

そして、飲酒量が多い状況が続くと、脳に異常をきたしてコントロール喪失に陥り、飲酒を我慢できないアルコール依存症になります。

アルコール依存症は脳の病気であるため、アルコール依存症になってしまえば、それを意思の力で解決することは難しく、医療機関での治療が必要です。

お酒と上手に付き合っていくには意識的にお酒を飲まない休肝日を設け、飲酒量や回数が増えすぎないようにすることが重要なのです。

継続的な飲酒は、体のアルコール耐性を高めて酔いにくくなり飲酒量を増加させることも考えられます。そのため、アルコール耐性の面から考えても、休肝日を設けることは大切です。

病気のリスクを減らせる

休肝日を設けることは、病気のリスクを下げることに役立ちます。

お酒は適量であれば、ストレスを発散したり血行を促進したり、善玉コレステロールを増加させたりするなどの効用があるとされます。人間関係を円滑化させるなどの社会的な効用もあるでしょう。

しかし、お酒を過度に摂取し続ければ、アルコール依存症になったり、生活習慣病(アルコール性肝障害などの肝機能障害・脂質異常症・高尿酸血症・高血圧症など)になったりするリスクが上がります。

デンマークにおいて1993年から2011年に実施された50歳から64歳の男女55,917人を対象にした調査によれば、お酒をほとんど毎日飲む人は、週に2回から4回飲む人に比べてアルコール性肝硬変の発症率が3.7倍に上昇。加えて、50歳代に大量飲酒をした人のアルコール性肝障害のリスクは、7.5倍に上昇することがわかっています。

以上のことから、休肝日を設けて飲酒量や回数を適正に保てば、病気のリスクを減らせると言えるでしょう。

お酒代の節約

休肝日を設けることは、お酒代の節約になります。

新生銀行の2022年の調査によると、1回あたりの外での飲み代の平均は男性が5,395円、女性が4,464円です。

また、1ヶ月あたりの外での飲み代の平均は男性で11,495円、女性で8,429円となります。男女共に、月に2回ほど飲み会があることがわかります。このうちどちらか飲み会を休肝日として欠席すれば、男性なら月に約5,500円の節約となり、女性なら月に約4,200円の節約が可能です。

自宅での飲み代の場合は、どうでしょうか。日本酒の一升瓶(約1,800ml)の相場は、1,600円から3,000円です。

1合は180mlであるため、日本酒1合あたりの値段は約230円となります。自宅で日本酒を毎日1合飲んでいた場合は、月に約7,000円かかります。週に3日休肝日を設けると、月に約3,000円の節約が可能です。

飲み代が家計を圧迫している方は、休肝日を設けて節約をしてみてはいかがでしょうか。

ダイエットにつながることも

休肝日を設けることは、ダイエットにも繋がります。

お酒を飲むとアルコールの分解によって肝臓に負荷がかかります。肝臓に負荷がかかっていると、本来は肝臓の代謝によって消費されていたはずのエネルギー量が残ってしまう可能性があります。

また、お酒を飲むとアルコールの分解によって肝臓に負荷がかかります。肝臓に負荷がかかっていると、本来は肝臓の代謝によって消費されていたはずのエネルギー量が減ってしまいます。

そこで、定期的に休肝日を設ければ、肝機能が維持され、基礎代謝がお酒を飲んだ日に比べて上がるため、ダイエットに繋がる可能性があるのです。

また、お酒は、水やお茶などの飲み物に比べてカロリーが高いため、摂取するカロリーを抑えられるという点でも休肝日はダイエットに繋がります。

下記にお酒1杯あたりのカロリーの目安を紹介しますので、ダイエットを考えている方はぜひ参考にしてください。

【お酒1杯あたりのカロリーの目安】

日本酒1合(180ml) 約180kcal
ビール(500ml) 約200kcal
チューハイ(350ml) 約200kcal
ワイン(120ml) 約35kcal
焼酎杯(100ml) 約200kcal
ウイスキー(30ml) 約70kcal

基本的な肝臓の働きを知っておこう

ホワイトボードと医者
ここまで休肝日をつくるメリットを確認してきましたが、改めて、肝臓の働きとアルコールの関係性について知っておきましょう

肝臓とアルコールの関係

肝臓は、「代謝」や「栄養の貯蔵」、「解毒」、「胆汁の生成」などを行います。このうち、コールに関係する肝臓の働きは、「解毒」です。

摂取したアルコールは、胃や小腸から吸収され、およそ90%が肝臓で分解・解毒されます。具体的には、アルコールは肝臓において下記のように2段階で無毒化されます。

  1. アルコール脱水素酵素やミクロゾーム・エタノール酸化系の働きによりアセトアルデヒドという有害物質に分解
  2. アルデヒド脱水素酵素の働きにより無害な酢酸(さくさん)へと解毒

アセトアルデヒドは、顔の赤らみや動悸、吐き気、頭痛などの原因になります。
上記で分解しきれなかったアルコールは、脳や全身に送られ、再び肝臓に戻って上記1に戻って分解されます。

厚生労働省が「健康日本21」で定めた基準によれば、お酒は純アルコール量に換算して1日あたり約20g(日本酒1合)が適量とされています。それ以上の飲酒を続けていると、肝臓に中性脂肪が蓄積され脂肪肝となり、悪化すると肝線維症や肝硬変などになりかねません。

1日あたり約20gというのは一般的な値であり、適量には個人差があるものです。アルコールの分解が遅いとされている、以下の方はさらに純アルコール量を抑えた方が肝臓によいでしょう。

  • 小柄な方
  • 若年もしくは高齢である方
  • 飲酒すると顔が赤くなる体質の方
  • 女性の方

アルコールは脂肪肝や肝炎の原因にも

大量の飲酒を続けることは、アルコール依存症や生活習慣病、脂肪肝、肝線維症、肝硬変などの原因になります。医療機関での治療や節酒・断酒により、病気が治癒したり軽快したりすることもありますが、まずは予防として適量を守って飲酒したり、休肝日を設けたりして肝臓を大事にすることが重要です。

肝臓は異常が現れても痛みなどの症状があらわれにくい臓器です。異常に早く気づけるよう、定期検診を受けるようにしましょう。早期に病気を発見できれば、肝臓を健康な状態に戻したり、正常に近いレベルまで機能を取り戻したりすることができます。

休肝日にお酒を飲みたくなった場合の対処法

瓶に伸ばす手
お酒の味わいや酔いの快感、口寂しさなどから、「今日は休肝日にしよう」と思っていても飲みたくなる方は多いのではないでしょうか。そのような場合、どのように対処すればよいのか、確認していきましょう。

ノンアルコールビールなどを代用品にする

休肝日にお酒を飲みたくなったら、ノンアルコールのものを代用品にしましょう。

最近は、ノンアルコールビールやノンアルコールカクテル、ノンアルコール日本酒、ノンアルコールチューハイなどさまざまなノンアルコール飲料があります。

休肝日は肝臓の負担を軽減するために設けるものです。よって、アルコールが微量しか含まれていない低アルコール飲料であれば目的を果たしながら、お酒のような味わいを楽しめます。

ただし、ノンアルコール飲料を飲むことでお酒を飲みたいという気持ちが逆に強くなってしまう場合は、お酒とは異なる味わいの炭酸水やソフトドリンクを楽しみましょう。

アルコール以外の飲み物を楽しむ

飲料の嗜好品はお酒に限りません。休肝日にはお酒以外の飲料に目を向けて、お茶や紅茶、コーヒーなどを楽しんでみてはいかがでしょうか。

お茶などのカフェインを含む飲み物は、気分を高揚させる効果があり、適量であれば集中力を高めて眠気を消失させ、疲労感を減少する効果もあります。

アルコールに頼りすぎないように、アルコール以外の美味しい飲み物を探してみましょう。

休肝日の過ごし方4選!

伸びをする男性
休肝日には、お酒以外のことに意識を向けるのもおすすめです。です。休肝日の過ごし方として、おすすめの方法を4つご紹介します。

ウォーキングなど体を動かす

休肝日には、ウォーキングなどで体を動かしてみましょう。ウォーキングや水泳などで有酸素運動をすれば、飲酒により蓄積している可能性がある中性脂肪を減らすことが可能です。

また、筋力トレーニングなどの無酸素運動をすれば、筋肉が強化されて基礎代謝が上がり、痩せやすくなります。

適度な運動には、睡眠の質の向上や睡眠時間の延長というメリットがあるものです。良質な睡眠により脳と体のストレスや疲労を取り除ければ、健康を維持しやすく、メンタルヘルスの向上にも役立ちます。

食事に集中して楽しむ

休肝日には、食事そのものに集中してその味を楽しむのもよいでしょう。お酒が介在しないぶん、素材の風味を細やかに楽しめるのではないでしょうか。

肝臓を労わるのであれば、食事は規則正しく適度な量の栄養バランスの取れたものを食べることをおすすめします。

肝臓の修復に必要である良質なタンパク質を摂れる大豆製品や肉類、魚介類などの食材を意識して食事に取り入れると効果的です。

肝臓の働きに必要なビタミンやミネラルなどの栄養が豊富な野菜や海藻、きのこ類などの食材を摂ることも意識しましょう。

家族との時間に充てる

飲酒する方は、飲酒しない家族との時間が減ってしまいがちです。特に、外でお酒を飲む方は、家で過ごす時間が短くなるため、家族との時間を取れていない方も多いのではないでしょうか?

休肝日こそ家族と一緒に時間を過ごすよい機会となります。家族とともに食事をしたり出かけたりすることで、コミュニケーションの機会を設けてみましょう。

熱中できる趣味をする

休肝日には、お酒を飲みたい気持ちを紛らわせるために、趣味に没頭するのもおすすめの方法です。何かに熱中している状態は、瞑想状態に近く、集中力が高まってストレスが軽減されます。

趣味は、仕事のパフォーマンス向上にも役立つものです。サンフランシスコ州立大学の研究では、仕事以外でクリエイティブな趣味に熱中している人は、仕事でも約15%から30%よい結果を出せるということもわかっています。

仕事以外のことに熱中できるものがあれば、仕事で燃え尽きてしまうリスクを低減することも可能です。

休肝日を設けてお酒と上手に付き合おう

外で楽しそうに飲酒する女性
適量の飲酒はストレスの発散効果や悪玉コレステロールを低下させる効果や、血行をよくする効果などのさまざまなプラスの効果があります。

しかし、適量を超えた飲酒を続けていれば肝臓に負担がかかったりアルコールへの依存度が増したりして、病気を患う可能性があります。

そのため、飲酒量や回数が増えすぎないように休肝日を設けることが大切です。できれば週に3日以上の休肝日を設け、肝臓をいたわりながらお酒を楽しみましょ

タイトルとURLをコピーしました