大吟醸酒とは?吟醸酒や純米酒との違いを解説

日本酒

日本酒の中には「大吟醸」と呼ばれるものがありますが、大吟醸酒とはどのような日本酒なのか、詳しく説明できないという方も多いのではないでしょうか?

また、日本酒にはその他にも「吟醸酒」や「純米酒」などもありますが、それぞれ原料や製造方法に違いがあります。

本記事では、日本酒の「大吟醸酒」やその他の日本酒の分類方法について詳しく解説します。

大吟醸酒とはどんなお酒のこと?

ひとことで「日本酒」といっても、実は原料や製造方法などの違いで細かく分類されています。

大吟醸酒は国によって明確に基準が決められた「特別名称酒」の一つに含まれます。

この項目では、特定名称酒の内容にも触れながら大吟醸酒について解説していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

大吟醸酒の定義を解説

日本酒の中で一定の要件を満たしたものだけを、特定名称酒と呼ぶことができます。

特定名称酒は、原料となるお米の精米歩合や加える添加物の有無などにより、大きく「純米酒」「吟醸酒」「本醸造酒」の3つに分類されます。

ここからさらに細かくカテゴリー化され、全部で8種類の名称に振り分けられます。
大吟醸酒の場合、原料の一部に醸造アルコールが含まれていることと、精米歩合が50%以下であることが大まかな括りではありますが、それに加えて、「吟味して製造された清酒であり、固有の香味・色沢が特に良好なもの」であることが定義づけられています。

特定名称 使用原料 精米歩合
純米酒 純米大吟醸酒
米こうじ
50%以下
純米吟醸酒 60%以下
純米酒
特別純米酒 60%以下、または特別な製造方法
吟醸酒 大吟醸酒
米こうじ
醸造アルコール
50%以下
吟醸酒 60%以下
本醸造酒 本醸造酒 70%以下
特別本醸造酒 60%以下、または特別な製造方法

精米歩合ってなに?

日本酒を分類する指標の一つに「精米歩合」というものがあります。

精米歩合とは、原料である玄米を表面から削っていった際に、残った部分の割合を数値で示したものです。

例えば、精米歩合が70%の日本酒の場合、米の外側部分を30%削り、より中心に近い残りの70%で作られたお酒ということになります。

パーセンテージの数値が低ければ低いほど「精米歩合が高い」と呼ばれており、精米歩合が高いと華やかな香りの高い日本酒になるといわれています。

先程の特定名称酒においては、精米歩合に着目すると、70%以下の「本醸造酒」、60%以下の「吟醸酒」、50%以下の「大吟醸酒」に分けることができます。

大吟醸酒は手間をかけて米を50%以下まで削っている、ぜいたくなお酒だといえます。

精米歩合によって味わいにも変化が生まれるため、日本酒選びの際には精米歩合に注目してみるのもおすすめです。

はじめて日本酒を飲む方に大吟醸酒がおすすめな理由

日本酒は、種類や銘柄によってフルーティなものからすっきりとした飲み口のもの、独特の風味のあるものまで、その味わいもさまざまです。

知れば知るほどにその世界は奥深く、楽しみ方の幅が広がるものですが、はじめて日本酒に挑戦する場合は、ラインナップが豊富なぶん、どれを買えば良いのか迷ってしまう方も少なくないでしょう。

日本酒の味を決める要因の一つに、前項で解説した精米歩合が影響しています。

より磨かれたお米を使用しているものほど雑味が取り除かれて味わいがクリアになるという特徴から、精米歩合が50%以下の大吟醸酒は癖も少なく、初心者の方にも受け入れられやすい傾向にあります。

果物のような香りに甘口の味わいですっきりとした後味のものが多く、主張しすぎない大吟醸酒は、単体でも飲みやすい一方で、料理に合わせるのにも適しており、贈答用としても重宝されています。

大吟醸酒と吟醸酒の違いとは?

大吟醸酒と吟醸酒は、どちらも原料に米と米こうじ、醸造アルコールが使用されている日本酒です。

同じ原料から作られているにもかかわらず、どうして名称が異なるのでしょうか?ここでは、具体的な違いについて確認していきましょう。

精米歩合が違う

まず、大吟醸酒と吟醸酒では精米歩合が異なります。

これは、国税庁が告示している「清酒の製法品質表示基準」にも明記されており、「精米歩合が60%以下のもの」は吟醸酒に分類され、さらにその内の「精米歩合が50%以下のもの」は大吟醸酒の名称を用いることが可能とされています。

大吟醸酒は精米歩合が50%と、吟醸酒より多く玄米の表層部を削り取っていることから「よく磨かれたお酒」と表現することができます。

精米歩合が高い(パーセンテージが低い)お酒ほど、味が研ぎ澄まされた高価なイメージがありますが、だからと言って必ずしもそれが優れているということではありません。

メーカーによっては、敢えて雑味を残すことで独自の風味を作り出しているところもあるので、自身の好みや状況に応じて選ぶのが良いでしょう。

大吟醸酒と吟醸酒は味わいも違う

日本酒の原料であるお米の胚芽や表層部分には、たんぱく質やでんぷん、脂肪といった栄養素が多く含まれています。

主食として食べる分にはありがたいのですが、お酒造りの際にはそれらが多すぎると雑味の原因にもなるため、適度に取り除く必要があります。

同じお米を使っていても精米歩合の異なる大吟醸酒と吟醸酒では、残った成分も異なることから、味わいにも違いが生まれるのです。

特徴としては、吟醸酒はフルーティな香りでコクがあり、大吟醸酒はすっきりとした口当たりでより香り高いものが多いです。

大吟醸酒と純米酒の違いとは?

大吟醸酒も純米酒も、共に特定名称酒に指定されている日本酒です。前項の吟醸酒とは異なり名前も別のものが用いられていますが、この両者は具体的にどう違うのでしょうか?

ここでは、その違いについて解説していきます。

原料が違う

大吟醸酒と純米酒は、原料に米と米こうじを使用している点は同じであるものの、最大の違いは醸造アルコールが使われているか否かです。

「清酒の製法品質表示基準」では、「精米歩合が50%のお米と米こうじの他に、醸造アルコールを原料に使用しているもの」を大吟醸酒とし、「米と米こうじのみを使い、醸造アルコールを用いていないもの」を純米酒として定めています。

「醸造アルコールが使われている」と聞くと余計なものが混ぜられているようなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、日本酒に使用される醸造アルコールはサトウキビなどを原料とした無味無臭の蒸留酒であり、それを加えることで酒質と香りにプラスの効果をもたらすというメリットもあります。

また、大吟醸酒と純米酒の両方の特性を備えている「精米歩合が50%以下で、米と米こうじのみで作られたもの」は純米大吟醸酒を名乗ることができます。

大吟醸酒と純米酒の味わいの違い

大吟醸酒と純米酒は、使用している原料も異なることから、味わいにも違いが生まれます。

大吟醸酒は、フルーティで爽やかな香りに、ライトな口当たりで雑味が少ないのが特徴。一方で純米酒は、醸造アルコールを使用していないためお米本来の旨みやコク、ふくよかな味わいが得られます。

それぞれの長所が楽しめるので、実際に飲んでみて自分好みの味を追求するのも良いでしょう。

好みに合う大吟醸酒の選び方とは?

自分好みの日本酒を見つけたいと思っても、はじめて購入する場合だと銘柄も多くて迷ってしまう方も多いでしょう。ここでは、大吟醸酒の特徴に合わせた選び方を紹介していきますので、参考にしてみて下さい。

甘口か辛口かで選ぶ

日本酒の味わいは、基本的に「淡麗・濃厚」「辛口・甘口」で分けられることが多いです。

商品の品質や特徴などが書かれているラベルを確認してみましょう。簡潔に文字のみで表記しているものもあれば、銘柄やお店によっては段階ごとに刻まれたゲージで表記しているところもあり、他の商品とも比較できるので参考にしやすいです。

また、日本酒の飲み口を見分ける目安の一つに、日本酒度というものがあります。日本酒度はお酒に含まれる当分の量を示しており、プラス表記は辛口、マイナス表記であれば甘口と判断することができます。

数値の幅が大きいほど、淡麗で辛みのある味に、もしくは濃厚な甘い味わいとなるので、表記がある場合は意識すると選びやすくなるでしょう。

香りで選ぶ

大吟醸酒の特徴であるフルーティで爽やかな香りは、お酒を発酵させる過程で生み出されます。

日本酒の原料であるお米は、精米が進んだものほど酵母によって作られる香りが華やかさを増すため、精米歩合が50%以下である大吟醸酒にもその性質がよく表れています。

飲みやすい味わいのものが多い大吟醸酒なので、迷ったら好みの香りで選んでみるのもおすすめです。

飲み方で選ぶ

日本酒は、温度を変えることでも楽しめるお酒です。常温でそのまま飲むのはもちろん、冷酒や熱燗など幅広い飲み方が選べます。

一つの銘柄でいろいろな温度帯の飲み口を試してみるのも良いですし、自分が飲みたい温度にぴったりの銘柄を探すのも楽しみ方の一つです。

また、料理と一緒に口にするなら相性を考慮して選ぶのも良いでしょう。メーカーによっては、銘柄ごとにおすすめの飲み方を紹介しているところもあるので、パッケージや公式サイトなどで調べてみると日本酒の世界がさらに広がります。

銘柄や産地で選ぶ

日本酒の味は、銘柄や原料であるお米の産地によっても違いがあります。

例えば、山形県が10年の歳月をかけて育てたお米ブランド「つや姫」でつくられたお酒は、うまみと甘味のあるお酒に仕上がっています。

日本酒の銘柄は、原料や製造方法などメーカーが定めた方向性に沿ってそれぞれ作られており、お米のブランドや産地を統一しているものも少なくありません。それにより、素材の性質を存分に反映させた味わいが楽しめるようになっています。

また、その土地の名産品や郷土料理に合うように作られているものもあるので、旅行先などでお土産と一緒に日本酒を購入してみてはいかがでしょうか。

大吟醸酒の美味しい飲み方

せっかく大吟醸酒を手に入れたなら、その美味しさをしっかりと堪能したいものですよね。

ここでは、特におすすめする大吟醸酒の飲み方について紹介していきます。

今まで何となく飲んでしまっていたという方も、ちょっとした変化を加えるだけで新鮮さが感じられる場合もあるので、ぜひ試してみてください。

10度前後に冷やして飲む

大吟醸酒の多くは、「吟醸香」と呼ばれるリンゴやバナナのようなフルーティな香りを放っており、それを楽しむのがこのお酒の醍醐味と言われています。

吟醸香の特徴が最もよく表れる温度帯が10度前後であり、大吟醸酒の華やかな香りを楽しみながら飲みたい方は、冷やして飲むのがおすすめです。

目安としては、冷蔵庫に保管していたお酒を取り出したばかりで、十分に冷えた状態のものが10前後です。日本酒は温度が高くなるにつれて香りが飛んでしまう性質があるので、普段から冷蔵庫で保存することを心掛けておくと良いでしょう。

ただし、冷やし過ぎるとかえって香りや味を感じにくくなる場合もあるので注意が必要です。

熟成タイプの大吟醸酒は常温がおすすめ

日本酒の香りには大きく分けると2種類あり、前項でも紹介したフルーティで華やかな香りのものと、果実や穀物のようなドライで落ち着いた香りのものが存在します。

後者のタイプは、冷酒で楽しむよりも、常温やぬるめの燗につけるとその魅力が存分に発揮されるのでおすすめです。

大吟醸酒の場合は、「熟成タイプ」と呼ばれるものがそれに該当し、熟成期間を経て生み出された独特の香りを楽しむことができます。

常温で保管しておいてそのまま味わうか、少しだけ温めて口当たりがまろやかになったところで飲むのがおすすめです。

夏場はオン・ザ・ロックもおすすめ

夏の暑い時期には、キンキンに冷やして飲む日本酒もおすすめです。

冷蔵庫で十分に冷やしておいた大吟醸酒を氷で割って飲むと、切れのあるシャープな味わいが楽しめます。華やかな香りと甘みのある大吟醸が、暑さで乾いた喉をさっぱりと潤してくれるでしょう。

使用する氷は、できれば水道水ではなくスーパーやコンビニなどで売られているロック用の氷がおすすめ。見た目の美しさはもちろんですが、室内に置いておいても溶けにくく、不純物などの余計な雑味が邪魔をしないので、大吟醸酒の本来の味をしっかりと堪能できます。

ワイングラスで飲む

日本酒を飲む場合、陶器やグラス、お猪口のような酒器を思い浮かべる方もいるでしょう。大吟醸酒が持つ香りを最大限に活かしたいなら、実はワイングラスがその候補にあがることをご存知でしょうか?

ワイングラスは、ワインのように揮発してしまう香りをキープするのに最適な形状で設計されており、香りと味をゆっくり楽しみたい方におすすめ。

大吟醸酒の中には琥珀色を帯びたものもあるので、透明な酒器であるワイングラスは見た目でも楽しむことができます。

また、ステムと呼ばれる持ち手部分があるものは、グラスを持ち上げた時に手から体温が伝わるのを防ぎ、内容物の温度変化を起こしにくくしてくれます。温度への気遣いが必要な大吟醸酒にはぴったりと言えるでしょう。

好みの大吟醸酒を味わってみよう!

精米歩合が50%以下の大吟醸酒は癖が少なく、果物のような香りに甘口の味わいなので、日本酒をはじめて飲む方にもおすすめです。

すっきりとした後味で主張しすぎない大吟醸酒は、料理にもあいやすいお酒です。

多くの酒蔵でさまざまな大吟醸酒が製造されているので、飲み比べをしてみてはいかがでしょうか。

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