コロンとした見た目が愛らしく、甘みと酸味のバランスが絶妙なさくらんぼ。
老若男女問わず人気のフルーツですが、実はたくさんの栄養を含んでいることをご存じでしょうか?
さくらんぼにはビタミンやミネラル、カリウム、鉄分などの豊富な栄養素が含まれており、美肌効果や疲労回復、むくみにも効果があります。
この記事ではさくらんぼの栄養や効果、美味しい国産さくらんぼの品種をご紹介します。
あわせて、さくらんぼのおすすめの食べ方や保存方法についても解説するので、さくらんぼを食べるときにはぜひ参考にしてみてください。
さくらんぼには栄養がある?
可愛らしい見た目や、甘みと酸味のバランスのとれた味が魅力的なさくらんぼですが、実は小さな1粒の中に、たくさんの栄養素がギュッと詰まっています。
いろんなフルーツの種類がある中でも、鉄分の含有量はさくらんぼがナンバーワン。
また、りんごや桃と比べると4〜5倍ものカリウムを含んでいます。
特に妊婦さんに良いと言われる「葉酸」も多く含まれているため、妊娠中の女性にもおすすめのフルーツです。
小さな1粒にバランスのいい栄養素が含まれているさくらんぼは、育ち盛りの子供のおやつとしてや、病気で食欲不振になった時にもピッタリ。
お見舞いの品、ギフトにも喜ばれます。
さくらんぼにふくまれる栄養成分を紹介
小さなさくらんぼには具体的に、どんな栄養素が含まれているのでしょうか。
まずは、さくらんぼに含まれる豊富な栄養成分や効果について解説します。
キレイを保ちたい女性には嬉しい栄養素も含まれているので、ぜひチェックしてみてください。
むくみ対策になる「カリウム」
さくらんぼに含まれている栄養素の中でも特に多く含まれているのが、赤血球を含む鉄分やむくみ対策に効果のある「カリウム」です。
さくらんぼに含まれるカリウムの量は、りんごや桃の4〜5倍。
カリウムが含まれているフルーツの中でもさくらんぼは群を抜いて多く、むくみが気になる方には特におすすめです。
また、カリウムには余分な塩分(ナトリウム)を排出してくれる働きがあるほか、血圧を下げる働きや、筋肉の働きを維持してくれる効果もあるため、血圧が高めの方や肥満予防にもおすすめです。
美肌のための「ビタミンC」
さくらんぼには、美容には欠かすことのできない「ビタミンC」も含まれています。
ビタミンCにはコラーゲンを促す効果があり、コラーゲンが生成されることで肌にハリがでて、毛穴の開きや肌のたるみを防ぎます。
またビタミンCには、ストレスや風邪などの病気への抵抗力を高める効果もあるため、体調を崩しやすい方にもおすすめです。
赤血球をつくる「鉄分」
さくらんぼには血液中の酸素を運搬する役割を果たす「鉄分」も含まれており、貧血予防に効果があります。
また、イライラを安定させる効果や、肌や髪のダメージ回復も期待できます。
さくらんぼに含まれる鉄分の量は、100gあたり0.3mgほど。
鉄分が不足してしまうと、全身に十分な酸素が行きわたらず酸欠状態になってしまい、立ちくらみやめまい、頭痛や動機といった症状があらわれることもあるため、意識して摂取しておきたい栄養素の1つです。
特にダイエット中や外食が多くて栄養が偏りがちな方、貧血の方はぜひ食事にさくらんぼを取り入れてみましょう。
貧血予防や胎児の発達に「葉酸」
さくらんぼには、赤血球の生産を助けるビタミンの1つである「葉酸」も含まれています。
葉酸は、たんぱく質の生合成の促進や細胞の生産、再生を助けてくれる役割があり、貧血予防や体の発育には欠かせないビタミンです。
通常は成人男女問わず、毎日200~400㎍の葉酸が必要ですが、妊婦さんはそれに加えて1日+240㎍の葉酸の追加が推奨されています。(参考:厚生労働省 日本人の食事摂取基準)
葉酸は胎児が成長するうえで大切な栄養のため、葉酸を含むさくらんぼは妊婦さんにもおすすめです。
皮膚や粘膜を健康に保つ「ビタミンA」
さくらんぼには、皮膚や粘膜を健康に保ってくれる「ビタミンA」も含まれています。
ビタミンAには抗酸化作用があるのも女性には嬉しいポイント。
ビタミンAは健やかな肌へ導く成分なので、マスク生活しているとありがちな、頬や小鼻まわりの肌トラブルにも効果的です。
美肌や皮膚、粘膜を健康に保つためにもビタミンAを意識して摂取しましょう。
抗酸化作用のある「アントシアニン」
さくらんぼには、抗酸化作用のある「アントシアニン」も含まれています。
同じさくらんぼでも、大き目で果実の色が赤黒いアメリカンチェリー(ダークチェリー)には、特にアントシアニンが多く含まれています。
日本のさくらんぼよりも色がしっかりと赤黒く色づいているのは、アントシアニンの色素が関係しています。
一方ビタミン類の栄養素に関しては、国内産のさくらんぼの方が豊富です。
アントシアニンは、目や体の老化防止や加齢による老眼や白内障、視力低下の予防に効果を発揮します。
国産のさくらんぼとアメリカンチェリーでは栄養価が違う?
さくらんぼとアメリカンチェリーは色や味が少し違うものの、よく似たフルーツです。
しかし、国産のさくらんぼとアメリカンチェリーは含まれている栄養素が違います。
アメリカンチェリーは、ポリフェノールの一種で目や体の老化を防ぐ「アントシアニン」が多く含まれています。
一方で国内産のさくらんぼには、抗酸化作用のある「β-カロテン」がアメリカンチェリーの約4倍近く含まれています。
β-カロテンは体内でビタミンAに変換されて作用するため、肌荒れなどが気になる方は、美肌効果のあるビタミンを多く含む、国内産のさくらんぼを選ぶのがおすすめです。
国産のさくらんぼの品種を紹介
国産のさくらんぼにはいくつもの品種がありますが、国内生産量の7割は山形県で栽培されています。
ここでは、生産量1位を誇る山形県で栽培されている、国産のさくらんぼの品種をご紹介します。
佐藤錦
佐藤錦は山形県の栽培面積の7割を占める、山形を代表する品種です。
佐藤錦は「さくらんぼの王様」とも呼ばれており、まるで宝石のルビーのような美しい紅色をしています。
1粒の大きさは7g前後。
糖度が高くて香りもよく、大粒な1粒の中に果汁がたっぷりつまっています。
佐藤錦は日本で最も多く栽培されている品種で、老若男女問わず人気の品種です。
紅秀峰(べにしゅうほう)
紅秀峰は、さくらんぼ1粒が10g前後と大きくて食べ応えがあり、日持ちに優れた品種です。
酸味が少なくて甘みが強く、口当たりもいいため「酸味は少し苦手」という方にもおすすめ。
収穫期が他のさくらんぼに比べて遅く、実がしまっていて比較的長く日持ちします。
デザートとして自分用に購入するのはもちろん、お中元などの贈り物にも適した品種です。
南陽
南陽は、明治時代に導入された品種の「ナポレオン」によって、自然交雑から選抜・育成された品種です。
大きさ8~10gほどと大粒で甘みが強く、果汁が豊富に含まれているのが特徴です。
果実はハートの形をしていて、果皮の地色は黄色。日光にあたることで、明るい紅色へと変化します。
表皮の色は佐藤錦などの品種と比較するとあまり濃く色づきませんが、果肉はきめが細かく、ジュ―シーな食感が楽しめる品種です。
高砂
高砂は、日本で栽培されて150年もの歴史ある品種です。
酸味と甘みのバランスが良く、いつまでも多くのファンから愛されています。
甘さが強すぎるのは苦手で、さくらんぼ本来の甘さを求める方には特におすすめの品種です。
ただし、実がやわらかくて果皮も薄く、デリケートで傷みやすいので、購入後は早めに食べましょう。
すぐに食べれず保存する場合は、キッチンペーパーで包んでビニールに入れるなどの乾燥対策をすると、劣化が抑えられます。
紅さやか
紅さやかは、山形を体表する品種の佐藤錦とセネカを交雑して選抜・育成された品種です。
果実は丸みを帯びたハートの形をしていて、1粒の大きさは5~7gほど。
さくらんぼの中では比較的大きめの品種です。
糖度は15度前後で、酸味とバランスのとれたさっぱりとした口当たりが特徴です。
紅さやかは6月上旬に収穫期を迎え、出始めの頃は果皮が紅色をしています。
収穫後期になるにつれて濃く色づいて少し黒っぽくなり、果肉も赤く染まります。
紅てまり
紅てまりは、7月中旬以降に収穫される極晩生品種です。
粒の大きさは10g以上と大きくて、果皮果肉も固めでしっかり食べ応えのある食感が楽しめます。
日持ちもいいので、贈り物にもピッタリ。
さくらんぼのシーズンの最後である7月に収穫期を迎えるため、お中元のギフトとしてもおすすめの品種です。
紅ゆたか
紅ゆたかは6月中旬に収穫する早生品種で、粒の大きさは6~9g前後と大きめ。
皮が薄くて食べやすい品種です。
果皮は綺麗な赤色に着色し、成熟すると深みのある赤色に変化します。
果肉の硬さは少しやわらかめで、糖度は18~19%前後もあり、甘みも質も濃厚です。
数ある品種の中でも糖度が高い紅ゆたかは、とろけるような食感で、口いっぱいに甘さが広がりスイーツのような味わいを楽しめます。
さくらんぼのおすすめの食べ方を紹介!
さくらんぼは生でそのまま食べても十分美味しいですが、他の食材と組み合わせることで吸収力が高まり、栄養を効率よく摂取できます。
ここでは、皮ごとそのまま食べるおすすめの食べ方と、他の食材と組み合わせる食べ方をご紹介します。
皮ごとそのまま食べる
さくらんぼには豊富な栄養素が含まれているため、皮ごとそのまま食べるだけでも栄養を丸ごと摂取できます。
特にさくらんぼには、美容や美肌に効果のあるビタミンCが多く含まれています。
ビタミンCは水溶性ビタミンで水に溶けやすい性質があるので、できれば加熱してジャムなどにせず、そのまま食べるのがおすすめ。
さくらんぼの実だけでなく、皮にも抗酸化作用のあるアントシアニンやポリフェノールといった、便秘に効果的な食物繊維も含まれています。
皮は柔らかくて渋みなどもあまりないため、そのまま食べても美味しく食べられます。
他の食材と組み合わせる
さくらんぼに多く含まれている鉄分は、ビタミンCと組み合わせて摂取することで栄養の吸収力がより高まります。
さくらんぼにもビタミンCが多く含まれていますが、さらにビタミンCを多く含む食材やフルーツと一緒に組み合わせると吸収力が高まります。
例えば、ミカン類よりも多くビタミンCが詰まっている、いちごやキウイと一緒に食べるのがおすすめです。
また、さくらんぼに多く含まれるビタミンAは、油と一緒に摂ることで栄養の吸収率が高まります。
例えば、皮つきのさくらんぼにオリーブオイルをかけてサラダにまぜて食べたり、バターでソテーして食べたりするのがおすすめ。
ビタミンを効率よく吸収できて、皮に含まれる栄養素も余すことなく摂取できます。
さくらんぼの保存方法
さくらんぼはいろんな種類のフルーツがある中でも特にデリケートです。
日にちが経過しても傷ませずに美味しさをキープするためには、正しく保存したり、優しく取り扱ったりしなければなりません。
ここでは、常温や冷蔵で保存するときの正しい保存方法や長期間保存する方法ついて詳しく解説します。
常温または冷蔵で保存する
さくらんぼは、柔らかくデリケートで温度変化に弱いフルーツなので、さくらんぼを収穫してから食べるときまで、できるだけ温度変化させないように注意しましょう。
常温のさくらんぼを購入した場合は常温保存、クール便で届いたさくらんぼやスーパーで冷蔵状態で販売されているさくらんぼを購入した場合は、冷蔵保存がおすすめです。
常温で保存する場合は、直射日光の当たらない10℃以下の涼しい場所で保存してください
「たくさんもらって食べきれない」というときには、長期間保存できる冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存の場合は、1ヶ月程度日持ちします。
食べるときには、半解凍でそのまま食べたり、凍ったまま他のフルーツとスムージーにしたり、お酒に凍ったさくらんぼをトッピングするのもいいでしょう。
さくらんぼを保存するときのポイント
さくらんぼを冷蔵や常温で保存する場合は、保存方法に注意が必要です。
さくらんぼの冷蔵・常温での保存方法
①タッパーなどの大きめの保存容器にペーパータオルを敷く
②洗わずそのままの状態のさくらんぼを、ペーパータオルの上に並べる
③ペーパータオルでさくらんぼを包み、蓋をして保存
保存容器にみっちり詰め込むとさくらんぼが傷つきやすくなるため、余裕のある大きめの保存容器を使うのがポイント。
また、さくらんぼはデリケートなので、取り扱うときにはそっと優しく触るようにしてください。
冷蔵や常温で保存する場合の保存期間の目安は2~3日です。
美味しいうちに、なるべく早く食べきりましょう。
栄養価が高く美味しいさくらんぼを食べてみよう
ルビー色に輝く美しい見た目や栽培の難しさから「果樹園の宝石」と呼ばれるさくらんぼ。
さくらんぼの日本一の生産地である山形県では、甘みが多く大粒でジューシーなさくらんぼのたくさんの品種が栽培されています。
さくらんぼは、酸味と甘みのバランスが良く、豊富な栄養素も含まれる健康的なフルーツです。
さくらんぼを他の食材と組み合わせたり、油と一緒に食べることで、さらに効率よく栄養を摂取できます。
甘みと酸味が絶妙で、はじけるような美味しさが魅力のさくらんぼを、ぜひ旬の時期に味わってみてください。