ラ・フランスの旬はいつ?美味しく食べられる時期や保存方法を紹介!

フレッシュなラフランスと水しぶき フルーツ

甘い気品のある香りと、とろけるような果肉の食感が特徴のラ・フランス。

「果物の女王」とも呼ばれているラ・フランスですが、その生産量の約7割を山形県が占める、山形県を代表する果物のひとつです。

しかし、ラ・フランスは食べごろの見極めが難しく「どの時期が旬なのかよく分からない」という方も多いでしょう。

そこでこの記事では、ラ・フランスが美味しく食べられる時期や保存方法、マメ知識などを紹介していきます

これから紹介する内容を参考に、ぜひ旬のラ・フランスをお家でも味わってみてください。

ラ・フランスってどんな果物?

3つ並んだラフランスとカットされて皿に乗ったラフランス
ラ・フランスというと、「フランスで多く栽培されている」というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、実は、現在フランスでは栽培されていません。

まずは、ラ・フランスの特産地や味の特徴、旬の時期について紹介していきます。

ラ・フランスの特産地

ラ・フランスは1800年代にフランスで発見された洋なしの品種ですが、他の洋なしに比べて病気にかかりやすく栽培が困難なことから、フランスではすでに絶滅しています。

現在では、絶滅前に苗を持ち込むことができた日本だけが栽培しており、日本の中でも山形県で一番多く収穫されています。

農林水産省の「作物統計調査」の令和4年度都道府県別ラ・フランス収穫量割合によると、山形県が最も多い68%、新潟県が8%、青森県が7%となっており、この3県が日本のラ・フランス収穫量の8割を占めていることが分かります。

西洋なしの収穫量調査グラフ
農林水産省|令和4年度「作物統計調査」より

ラ・フランスの味の特徴

ラ・フランスはゴロゴロした見た目でいびつな形をしていますが、とても肉厚で果汁がたっぷり詰まっています。

まろやかな舌触りと芳醇な香りが特徴で、口に入れると上品な甘さと優しい酸味が感じられる果物です。

さらに、ラ・フランスはビタミンCやカリウム、食物繊維を含んで栄養価が高く、整腸作用や疲労回復、美肌効果も期待できます。

果物の「なし」に比べると糖度が高いため、食べ過ぎに注意が必要ですが、ラ・フランスはのどの炎症に効くソルビトールも含まれているので、風邪をひいたときや疲れで体調がすぐれないときにもおすすめです。

ラ・フランスの旬はいつ?

10月のカレンダーと紅葉
ラ・フランスの収穫の時期は、10月中旬から下旬にかけてです。

収穫後に一定期間追熟してから出荷されるため、収穫の2週間後くらいに市場に出回ります。

そのため、だいたい11月上旬から11月中旬がラ・フランスの最盛期となり、お歳暮のシーズンである12月くらいまで続きます。

ラ・フランスの軸は折れやすく風に弱いという特徴があるので、東北地方で台風が上陸しやすい時期である10月頃は、大切に育てたラ・フランスが落ちてしまわないよう、生産者は特に注意を払っています。

ラ・フランスには「販売開始基準日」がある

果物の女王ともいわれるラ・フランスは、香りが高く肉厚でとろけるような美味しさが特徴の果物。

そのため、食べごろの美味しい時期に販売できるようにと、山形県「ラ・フランス振興協議会」では、毎年「販売開始基準日」を設定しています。

たとえば令和4年度の収穫適期は「10月9日~10月18日」で、販売開始基準日を「10月25日」に設定していました。

ヨード反応指数や果肉硬度によって開始基準日が変わることもありますが、産地が一体となって品質の高い美味しいラ・フランスを全国にお届けするという、徹底した管理を行っています。

ラ・フランスの「予冷」とは?

ラ・フランスは、外見から食べごろのタイミングが分かりにくいというデメリットを解決するために、「予冷」という方法を用いています。

予冷とは収穫したラ・フランスを低温貯蔵庫に入れて果実の呼吸を抑制することです。

予冷することで、ラ・フランスを常温に戻したときに呼吸が旺盛になり、デンプンが糖分へと変化します。

予冷後に一定期間追熟して熟度を揃え、食べごろが近くなった段階で出荷しますが、予冷や追熟を行ったラ・フランスはより美味しさが増す反面、完熟に近づくほど傷みやすく、輸送時に破損しやすくなります。

その点に注意しながら輸送に耐えられる程度の発送日を逆算し、出荷しています。

「予冷済」なら1週間で食べごろ

山形県では、予冷済みのラ・フランスを消費地の市場に送っているため、お店に並んでいるものは、約1週間後に完熟をむかえるラ・フランスと考えて大丈夫です。

予冷処理がされていない状態のラ・フランスは、熟度もバラバラで食べごろの目安も全く分からなくなってしまいます。

そのため、山形県では出荷前に予冷のプロセスを取り入れて、少しでも美味しい状態のラ・フランスを味わってもらえるよう、「最低限の食べごろの目安」ができるような配慮がされています。

熟度の状態は見た目だけでは分かりにくいので、「本当に予冷されているのか不安」という方は、お店の方に予冷済みのラ・フランスかどうかを確認してみるといいでしょう。

また、旬のラ・フランスの見分け方ついてもくわしく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

旬のラ・フランスの見分け方とは?

AかBかどちら
旬のラ・フランスは、果物の色自体が変化するわけではないので、外見から食べごろのタイミングを判断するのは難しいかもしれません。

そのため、食べごろかの見極めをラ・フランスの「軸」と「その周りの部分」で判断していきます。

【ラ・フランスの食べごろを見極めるポイント】

  • 果実のすぐ近くで芳醇な香りが感じられる。
  • 軸周りに「シワ」がよっている。
  • 軸周辺の肩の部分を指で優しく押したときに、耳たぶ程の柔らかさになっていると熟度が高い。※耳たぶよりも少し固めがおすすめ。

【注意点】

  • お店に陳列されている状態のラ・フランスで確認しないようにしてください。
  • 保存場所の気温によって追熟の速さが変化するので、こまめに確認することをおすすめします。

食べごろになったラ・フランスが美味しく食べられる期間は、常温で数日程度と短めです。

「ラ・フランスをたくさん頂いた」「もっと長い期間、美味しさを長持ちさせたい」というときには、冷蔵庫で保管することで、常温で保管しておくよりも長い期間美味しさをキープできます。

旬のラ・フランスの保存方法

紙袋に入れて保存
お店で購入したラ・フランスが「まだ食べごろではなさそう…」という場合は、保存方法に気を付けながら追熟させましょう。

ここでは、お家でのラ・フランスの保存方法について紹介します。

まだ熟していない場合の保存方法

ラ・フランスは収穫してから、2~3週間後が食べごろになります。

購入したラ・フランスの軸の周りを押したときに「まだ少し硬いかも…」という場合は、乾燥を防ぐために新聞紙で包む、もしくは紙袋に入れて常温で追熟させてください。

湿度が高すぎると熟し過ぎてしまうこともあるので、できるだけ15~20度前後の涼しい場所で数日保存しましょう。

気温が高いときには、常温ではなく冷蔵庫での保管をおすすめします。

熟したあとは冷蔵庫へ

常温で追熟したラ・フランスが食べごろになったら、冷蔵庫で保管しましょう。

冷蔵庫で保管することによって、約1週間程度美味しい状態を保てます。

ただし、りんごやアボカドなどの他の果物と一緒に保管すると、他の果物から出るエチレンガスの影響によって劣化が進む可能性があるので、一緒に保管しないようにしてください。

「すぐに食べきれない」「さらに長い期間保存したい」という場合は、冷凍しておくことも可能です。

冷凍保存するときには、キッチンペーパーやラップでラ・フランスを丸ごと包み、冷凍用保存袋に入れて保管しましょう。(保存期間の目安:約1~2ヶ月)

ラ・フランスの美味しい食べ方

食べ方、ナイフとフォーク
完熟したラ・フランスは、そのまま食べても美味しいですが、コンポートやジャムなどにアレンジすることで、また違う美味しさを楽しめます。

ここでは、ラ・フランスをそのまま食べる場合の上手な食べ方のポイントや切り方、ラ・フランスのアレンジ方法について紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

そのまま食べる場合

完熟したラ・フランスは、冷蔵庫で冷やすとより美味しくなります。

ただ、完熟した食べごろのラ・フランスは果汁が滴るほど濃厚な味わいになっているので、手を汚さずに食べるのは少し難しいかもしれません。

そこでまずは、手を汚さないでそのまま食べる方法と、カットして食べる方法について紹介していきます。

【手を汚さずにそのまま食べる方法】

  1. 食べごろのラ・フランスを縦半分にカットする。
  2. 芯をスプーンでくり抜く。(芯は捨ててください)
  3. 芯の周りの果肉部分をスプーンですくって食べる。(メロンの食べ方のイメージ)

皮ぎわは、完熟するほどもろくなっているので、皮を破ってぐちゃぐちゃにならないよう注意が必要です。

【くし切りの方法】

  1. 冷蔵庫で冷やしたラ・フランスを、皮をむかずに縦4等分に切る。
  2. 中心の軸の部分をりんごを切るように取り除く。
  3. 最後に皮をむいてお皿に盛り付け、召し上がってください。

ラ・フランスは果汁が多くて手が滑りやすくなっているので、果実を落としたりケガをしたりしないよう気をつけてください。

アレンジする場合

冷蔵庫で冷やした食べごろのラ・フランスをそのまま食べても十分美味しいですが、「贈り物でたくさん頂いた」というときなどには、アレンジして食べることでまた違う美味しさを楽しめます。

今回は、ラ・フランスのアレンジ方法を5つ紹介します。

①コンポート
 赤ワインや砂糖、グローブや輪切りレモンと一緒に煮込みコンポートにする。
 アイスやヨーグルトに添えて食べると美味しく召し上がれます。

②ラ・フランスをまるごとオーブンで焼く
 そのまま食べても旨みがギュッと濃縮して濃厚な味わいに。さらにラム酒をかける と風味がアップします。お好みでチョコレートシロップをかけてもOK!

③ジャム
 グラニュー糖やレモン汁と一緒に煮詰めてジャムにする。
 トーストに塗ったりヨーグルトに混ぜて食べたり、アイスと一緒に食べてもOK!

④パイ
 生地にカスタードクリームを塗り、上に煮込んだラ・フランスをトッピングする。
パイやカスタードクリームは市販のものを使用すれば、より簡単に作れます。
 また、冷たいアイスと一緒に食べても相性バツグン!

⑤おつまみ
 くし切りにしたラ・フランスに生ハムを合わせてオリーブオイルをかける。
 少量の柚子胡椒やお酢を加えても美味しく召し上がれます。時間が経つと水分が出 てきてしまうので、食べる直前に合えるのがポイント!

朝食にピッタリのジャムからおつまみまで、幅広いアレンジが楽しめるので、ぜひ試してみてください。

ラ・フランスについてのその他のQ&A

Q&Aの積み木
ここでは、ラ・フランスの知られざるエピソードやマメ知識を紹介していきます。

Q.ラ・フランスが注目されたのは意外と最近?

現在は、スーパーなどで見かけるラ・フランスですが、実は注目されたのは意外と最近です。

ラ・フランスが日本に渡ってきたのは明治36年頃でしたが、ラ・フランスは病気に弱くて育てるのが難しく、台風の影響も受けやすい品種であることから、栽培しやすい「バーレット」という洋なしが、さかんに作られるようになりました。

ラ・フランスが注目されるようになったのは、昭和60年頃。

日本で、土づくりや剪定、害虫駆除など様々な手間をかけて昭和60年頃にようやく生産体制が確立されたことで一気に栽培面積や収穫量が伸び、注目されるようになりました。

Q.フランスでは「ラ・フランス」と呼ばない?

ラ・フランスの発祥の地であるフランスでは「ラ・フランス」という呼び名ではなく、発見者の名前から「Claude Blanchet(クロード・ブランシェ)」と呼ばれています。

ラ・フランスは日本独自の呼び名で、日本の7割ほどの生産量を占める山形県では、ひょうたんのような見た目から一昔前までは「みだぐなす」と呼ばれていました。

栽培に手間がかかるため、フランスではラ・フランスがすでに絶滅しており、現在では、日本だけが生産している貴重な品種です。

Q.山形県ではラ・フランス以外の西洋なしも栽培している?

現在、山形県ではラ・フランス以外にも色んな西洋なしの品種を栽培しています。

【山形県で栽培されている西洋なしの品種】

  • バーレット
  • メロウリッチ
  • バラード
  • シルバーベル
  • オーロラ

中でも一番今注目されているのが、新品種の「メロウリッチ」。

糖度が高いうえに肉質がなめらかで香り高く、口に入れると濃厚な美味しさが広がる品種で、リッチな味わいが楽しめます。

ラ・フランスの食べごろを見逃さないようにしよう!

3つ並んだラフランスとカットされて皿に乗ったラフランス
ラ・フランスは外見から食べごろを見極めるのが難しい果物なので、購入後はこまめにチェックして食べごろを見逃さないように注意してください。

「ラ・フランスの近くから香りがするかどうか」や、「軸周りの部分が耳たぶ程の柔らかさになっているかどうか」が見極めのポイント!

冷蔵庫で冷やしたラ・フランスはそのまま食べても美味しいですが、ジャムやコンポート、おつまみなどにアレンジしてもまた違った美味しさを堪能できます。

今回紹介した方法を、ぜひお家でも試してみてください。

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