和食や洋食、イタリアンなど、さまざまな料理と相性が良い日本酒。
日本酒は種類も豊富ですが、中でもフルーティな日本酒は華やかな香りと洗練された味わいが楽しめます。
また、フルーティな日本酒はスッキリした口あたりでクセも少ないので、日本酒をはじめて飲む方にもおすすめです。
今回は、フルーティな日本酒の特徴や選び方のポイントをご紹介します。
あわせて、フルーティな日本酒を美味しく飲むコツや、日本酒に合う料理も紹介するので、普段から日本酒を飲む方や、これから日本酒に挑戦する方は、ぜひチェックしてみてください。
フルーティな日本酒とは?
日本酒初心者や女性でも飲みやすいフルーティな日本酒ですが、「フルーティな日本酒といわれても、どんなものかわからない」という方もいるでしょう。
まずは、フルーティな日本酒の特徴について解説していきます。
フルーティといっても果物が入っているわけではない
フルーティな日本酒といっても実際にフルーツや果汁が日本酒に含まれているというわけではありません。
日本酒の表現でよく使用される「フルーティ」とは、果実の甘い香りや味わいのことを表しており、「まるでフルーツのような、華やかな甘い香りと味わいが楽しめるお酒」という表現として用いられています。
日本酒によって香りや味わいはさまざまですが、具体的にはりんごやバナナ、パイナップル、メロン、ぶどうなどの果実を思わせるような香りです。
日本酒特有のフルーティな香りを表現するときには、りんごの場合は「さわやかな酸味と甘み」、パイナップルは「トロピカルな甘み」といった言葉で表現します。
フルーティなお酒は吟醸酒が多い
日本酒は、大きく分けると「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」の3つに分類されます。
中でも、「吟醸酒」にはフルーティなお酒が多く、フレッシュな香りと繊細な味わいが楽しめます。
「吟醸酒」とは、60%以下に精米したお米を低温でじっくり発酵させる「吟醸造り」という製法が用いられた日本酒です。
丁寧な製法により、華やかな香りやのどごしの滑らかさ、スッキリした味わいを生み出しています。
日本酒からフルーティな香りがするワケ
日本酒には果物が使用されていないのに、なぜフルーティな香りがするのでしょうか。
その理由には、日本酒の香りや味わいに関係する「酵母」と「精米歩合」の2つが関係してきます。
それぞれについて確認していきましょう。
酵母によるもの
日本酒からフルーティな香りがする理由の1つに、日本酒の深い独特な香りを生み出す「酵母」が関係しています。
酵母は肉眼では見えないほど小さな微生物で食材を発酵させる働きがあり、パンやワイン、味噌やしょうゆといった発酵食品に用いられていますが、吟醸造りでは、アルコール発酵と並行して香りの要因となる成分を生み出します。
香りの主成分となるのは「カプロン酸エチル」「酢酸イソアミル」の2種類。
どちらの成分もりんごやバナナのような甘い香りで、どの成分が多く含まれているかによって、日本酒の香りや風味も変化します。
精米歩合によるもの
もう1つの要因は、精米して残った白米の割合を表す「精米歩合」です。
お米の表層部分にはたんぱく質、脂質、でんぷんといった重要な栄養素がありますが、これらが多すぎると雑味が残ってしまい、お酒の香りが消されてしまう原因に。
そのため、表層部分をより多く削って磨かれたお米を使う方が、華やかで香りの高い日本酒になるといわれています。
精米歩合はパーセンテージであらわし、パーセンテージが低いほど手間をかけてお米の表面が削られており、より香りが高くフルーティな味わいになります。
反対に精米歩合のパーセンテージが高くなるほど香りが抑えられ、米本来の香りを活かしたふくよかな味わいの日本酒になるという特徴があります。
フルーティな日本酒の選び方
フルーティな日本酒は、フルーツのようなフレッシュな香りや味わいが楽しめて飲みやすいことから、日本酒初心者や女性に人気のあるお酒です。
しかし、日本酒の種類は豊富にあるので、どれを選べばいいか迷ってしまう方も多いでしょう。
ここでは、フルーティな日本酒の選び方のポイントを紹介していきます。
吟醸酒系を選ぶ
フルーティな日本酒を選ぶときには、「吟醸造り」の製法が用いられた吟醸酒系の銘柄を選びましょう。
吟醸造りによって生まれる「吟醸香」は、りんごやバナナといったフレッシュで甘い華やかな香りが特徴です。
具体的には、「吟醸酒」「大吟醸酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」の4種類の中から選ぶのがおすすめです。
精米歩合のパーセンテージが低い銘柄を選ぶ
フルーティな日本酒を選ぶときには、精米歩合のパーセンテージが低い銘柄を選びましょう。
通常の日本酒の場合は精米歩合70%程度ですが、フルーティさを求めるなら精米歩合60%以下の日本酒がおすすめです。
もちろん、精米歩合が60%以上でもフルーティな味わいが楽しめる日本酒もたくさんありますが、精米歩合の数値の低さは香りの高さとリンクしています。
購入するときには、日本酒のラベルで精米歩合をチェックしてみてください。
甘口か辛口かで選ぶ
フルーティな日本酒は「甘口」と「辛口」どちらの日本酒を選ぶかによっても、味わいが大きく異なります。
甘口と辛口の日本酒それぞれの特徴を紹介するので、ラベルを確認して自分好みの銘柄を選びましょう。
甘口のお酒の特徴
フルーティな日本酒は主に、甘口の日本酒が好まれる傾向にあります。
甘口といってもお米の糖分による甘さなので、甘すぎずにフルーツのようなサッパリした上品な味わいが楽しめます。
甘口に分類される日本酒の中でもほのかな甘みとサラっとした口あたりの「大吟醸」がおすすめ。
大吟醸は精米歩合50%以下で造られる、スッキリした飲み口とフルーティな味わいとのバランスの良さが魅力の日本酒です。
白ワインのような芳醇な果実香も楽しめて飲みやすいので、はじめて日本酒を飲む方はぜひ試してみてください。
辛口のお酒の特徴
フルーティな日本酒というと「甘口」をイメージする方も多いかもしれませんが、辛口でもフルーティな日本酒の銘柄はたくさん存在します。
辛口の特徴は、キレのあるスッキリした味わいが楽しめること。
フルーティかつ辛口のお酒を選ぶときにも「大吟醸」がおすすめです。大吟醸には甘口だけでなく辛口、超辛口などもあるので、好みにあわせて選びましょう。
大吟醸の華やかでフルーティな味わいとスッキリした後味が、料理の味わいをより引き立たせてくれます。
焼き魚や刺身、天ぷらなどの和食はもちろん、パスタやカルパッチョといった洋食との相性もぴったりです。
フルーティなお酒を美味しく飲むためのコツ
フルーティな日本酒は飲み方を少し工夫するだけで、いつもとは違ったワンランク上の美味しさが楽しめます。
ここでは、フルーティな日本酒を美味しく飲むためのコツを3つご紹介します。
冷やして飲む
日本酒は飲むときの温度によって、味わいや香りが変化します。
フルーティな日本酒を美味しく飲むなら、冷やして飲むのがおすすめです。
ただし冷やしすぎるとあまり香りが感じられなくなってしまうので、冷蔵庫で5~10℃に冷やしてみてください。
日本酒を冷やすことでフルーティな香りがより引き立ち、のど越しがスッキリして飲みやすくなります。
ワイングラスを使う
ワイングラスに日本酒を注いで、香りを楽しみながら味わう方法もおすすめです。
ワイングラスは胴体部分が大きい形状になっていることで、香りがグラス内に充満して、フルーティな味わいがより一層引き立ちます。
さらに、飲むときに口や鼻をすっぽり覆うことで、日本酒の香りが立ち昇って鮮明な味わいも楽しめます。
近年では、「ワイングラスで美味しい日本酒アワード」というコンテストが開催されるほど、日本酒をワイングラスで飲むスタイルが幅広い世代の人たちから人気です。
ワイングラスが自宅にある方はぜひ、ワイングラスに日本酒を注いで華やかな香りと味わいを楽しんでみてください。
早く飲み切ってしまう
日本酒のフルーティな香りは開封した直後から揮発していくため、一度開封したら早めに飲み切ってしまうことをおすすめします。
日本酒はアルコールの殺菌作用で長期保存が可能なので、ラベルをみても賞味期限は記載されていませんが、できれば2~3日以内に飲み切るのがおすすめです。
また、上品な香味を劣化させないためにも、開封後は常温ではなく冷蔵庫で保管しましょう。
フルーティなお酒とあう料理とは?
フルーティな日本酒は、和食や洋食など幅広いジャンルの食事と合いますが、どちらかというと濃い味よりも、素材の味を活かしたようなあっさりした食事がよく合います。
ここでは、フルーティな日本酒に合うおすすめの料理をご紹介します。
あっさりした和食
フルーティな日本酒と合わせるなら、あっさりした和食がおすすめです。
華やかな香りとサラっとした口あたりが特徴のフルーティな日本酒は、塩味が強いものや濃い味の和食と合わせると味が負けてしまい、本来の美味しさが半減してしまいます。
そのため、素材の味を活かした白身魚の酒蒸しや野菜炒め、豚しゃぶ、冷奴など、あっさりした和食と合わせて味わうのがおすすめです。
酸味・香りが強い料理
フルーティな日本酒は、酸味や香りが強い食材との相性も抜群です。
例えば、大葉や山菜、しょうが、レモンやかぼすを使用した料理と合わせると、フルーティさがより際立って美味しく召し上がれます。
白身魚のカルパッチョに大葉を添えたり、山菜を天ぷらにするなど、いろんなアレンジを楽しんでみるのもいいでしょう。
中でも、山菜の香りはフルーティな日本酒の香りと絶妙に合い、ほろ苦い山菜が奥行きのある味わいに変化してより美味しく感じられます。
軽く食べられる洋食
軽く食べられる洋食も、フルーティな日本酒とのペアリングにおすすめです。
日本酒というと和食と合わせるというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実は、生ハムやアヒージョ、アクアパッツァといった白ワインと相性のいい淡泊な食材を使用した洋食とも好相性。
そして、フルーティな日本酒はもちろん、フルーツとの相性も抜群です。
サラダにフルーツを混ぜたり、生ハムを添えたりなど、アレンジしながら日本酒と共に味わってみることで、単体で食べるときとはまた違った深い味わいが楽しめます。
フルーティな味わいの日本酒を飲んでみよう
華やかな果実の香りが楽しめるフルーティな日本酒は、日本酒初心者や女性の方はもちろん、いつもと違うお酒を楽しみたいシーンにもぴったりです。
フルーティな日本酒を美味しく飲むコツは、5~10℃に冷やした日本酒を、ワイングラスで飲むこと。
ワイングラスで飲むことで、華やかな香りやより洗練された味わいが楽しめます。
また、さまざまな料理との相性が良い日本酒ですが、白ワインに合うようなあっさりした食材とのペアリングがおすすめです。
そのままでフルーティな味わいの日本酒の香りや味わいを楽しんだり、オリジナルのペアリングを試したりしながら、華やかなひとときをお過ごしください。