毎年解禁日が訪れると世界各国でイベントが開催されるほど人気のワイン「ボジョレー・ヌーヴォー」。
日本でも人気が高いため、毎年解禁日を楽しみにしている方も多いでしょう。
しかしボジョレー・ヌーヴォーの解禁日が、毎年決まった日になっていることをご存じでしょうか?
この記事では、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は毎年いつなのか、またどのような理由で解禁日が定められたのかについて詳しく紹介します。
またワインとの違いや美味しく飲む方法も解説しますので、ボジョレー・ヌーヴォーを深く知りたい方や、より美味しく味わいたい方はぜひ参考にしてください。
ボジョレー・ヌーヴォーってどんなお酒?
ボジョレー・ヌーヴォーとはフランス南部ブルゴーニュ地方のボジョレー地区で獲れるその年に収穫されたブドウから造られ、収穫された年に販売されるワインです。
ブルゴーニュ地方の秋の収穫を祝うお祭りで捧げられたのが始まりといわれています。
ボジョレー・ヌーヴォーのボジョレーは「フランスの地区名」、ヌーヴォーは「新しい」と訳されます。
そのためボジョレー・ヌーヴォーとは「ボジョレー地区の新酒」という意味になります。
つまりボジョレー地区で造られた新酒のみがボジョレー・ヌーヴォーと呼べるのです。
またボジョレー・ヌーヴォーは使用されるブドウの品種も法律で定められており、「ガメイ」と呼ばれる品種のブドウのみが使用されます。
そのため、ガメイ種以外で造られたワインはボジョレー・ヌーヴォーではありません。
このように製造場所も品種も厳密に決められて造られている貴重なワインがボジョレー・ヌーヴォーなのです。
ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日とは?
ではボジョレー・ヌーヴォーは毎年いつ解禁されるのか、そもそもなぜ解禁日が設定されたのか、気になる方も多いでしょう。
ここでは、気になる2024年のボジョレー・ヌーヴォーの解禁日から、解禁日が設定された理由まで解説します。
解禁日は毎年「11月の第3木曜日」
ボジョレー・ヌーヴォーは、毎年11月の第3木曜日に解禁されます。
そのため、2023年のボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は「2023年11月16日(木)」です。
ボジョレー・ヌーヴォーは解禁日の午前0時以前に栓を抜いてはいけないと決められているため、解禁日前に手にすることはできない仕組みとなっています。
ただし日付変更線の影響により、日本は本場のフランスよりも約8時間早く解禁日を迎えます。
つまり日本では、ボジョレー・ヌーヴォーが本場よりも早く楽しめるというわけです。
日本ではボジョレー・ヌーヴォーの解禁日に合わせて各地でさまざまなイベントが開催されており、毎年解禁日はお祭りのような盛り上がりを見せています。
解禁日が設定された理由
ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日が設定されたのは、品質の維持が理由です。
かつて、フランスのすべてのワインは、その年の12月15日より以前の販売が禁止されていました。
しかしボジョレー・ヌーヴォーはフレッシュさが売りの「新酒」ということもあり、生産者たちが早く売り出そうとフランス政府にかけあった結果、早出しが許可されました。
しかしその結果、他の生産者よりも早く販売しようとする者の間で競争が激化し、品質よりも出荷の早さを重視するようになってしまいました。
そして、市場に質の悪いワインが出回るようになってしまったのです。
この問題を解決するために、1967年にフランス政府は、高い品質を維持することを目的として、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日を制定しました。
ちなみに当初の解禁日は「11月15日」でしたが、この日が流通や販売店の休日にあたると売り上げに大きな影響を与えてしまうため、1985年より「11月の第3木曜日」に変更されています。
ボジョレー・ヌーヴォーは他のワインとどう違う?
その年に収穫したブドウで造られ、さらにその年に販売をおこなうボジョレー・ヌーヴォー。
通常のものとは異なり、短期間で販売できることには実は他のワインとの違いがあります。
ここでは、ボジョレー・ヌーヴォーと他のワインの違いを解説します。
製法の違い
ボジョレー・ヌーヴォーと他のワインで大きく違うのが「製法」です。
通常のワインであれば、ブドウを収穫したあと醸造するのにとても時間を要します。
しかしボジョレー・ヌーヴォーは9月にブドウを収穫してから約2ヶ月で出荷しなければなりません。
そのため通常のワインとは異なり、「マセラシオン・カルボニック」という製法で造られます。
マセラシオン・カルボニックという製法は、ブドウを破砕せず皮ごと密封したタンクに詰めて発酵させるものです。自然に発酵することで発生する炭酸ガスを利用して醸造させるため、短期間でワインを醸造できます。
この製法により、ボジョレー・ヌーヴォーは他のワインとは違い、収穫した年に販売できるのです。
飛行機による空輸で届く
ボジョレー・ヌーヴォーは輸送方法にも違いがあります。
通常のワインは船便で輸送されることが多いですが、ボジョレー・ヌーヴォーは空輸を利用します。
船便の場合は日本に届くまでに早くても2〜3ヶ月ほどかかるため、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日までに届けるのは不可能です。
しかし空輸であれば1日で日本に輸送できます。
フランス国内の移動や税関の手続きなどを差し引いても、圧倒的な時間短縮になります。
ただし空輸は船便よりも輸送費が高いのがデメリット。しかし、ボジョレー・ヌーヴォーはあえて高い輸送費を使ってまで、空輸で早く届けることにこだわっているのです。
ボジョレー・ヌーヴォーってどんな味?
ボジョレー・ヌーヴォーは深みのある色合いですが、見た目に反してフレッシュでフルーティな味わいをしています。
いちごやバナナなどの果実のような甘い香りがするのが特徴で、渋みが少なく飲みやすいワインです。
赤ワイン特有の渋みが苦手な方でも比較的飲みやすいでしょう。
また適度な酸味ですっきりしているので、ワイン自体が苦手な方にもおすすめです。
渋みが少なくすっきりとした味わいから普段ワインを飲まない方でもボジョレー・ヌーヴォーは飲めるという方も多く、ワインを楽しんでみたい方にはぴったりなものといえます。
ボジョレー・ヌーヴォー特有の造りたてのフレッシュな風味をぜひ味わってみてください。
ボジョレー・ヌーヴォーの美味しい飲み方
せっかくボジョレー・ヌーヴォーを飲むのなら、より美味しく味わいたいものです。
そのため、ボジョレー・ヌーヴォーを楽しむ際は「飲み方」に気をつけてみましょう。
ここでは、ボジョレー・ヌーヴォーの美味しい飲み方のポイントを3つご紹介します。
少し冷やしてから飲む
ボジョレー・ヌーヴォーは渋みが少なくすっきりとした味わいのあるワインなので、少し冷やしてから飲みましょう。
通常の赤ワインは冷やすと渋みが強くなるため冷やさないものが多いですが、ボジョレー・ヌーヴォーは冷やすとフレッシュさが引き立ちより美味しく飲めます。
10〜12℃ぐらいの温度が最も美味しく飲めるのでおすすめです。
飲む1時間前ぐらいに冷蔵庫に入れておいたり、水を張ったワインクーラーに氷を少し浮かべて10分ほど冷やしたりすると美味しく飲みやすいでしょう。
早めに飲んでしまう
早めに飲み切るのもボジョレー・ヌーヴォーを美味しく飲むコツです。
ワインは「寝かせるとより美味しくなる」と思われがちですが、実はワインの中には熟成しても美味しくならないタイプもあります。
特にボジョレー・ヌーヴォーはその年に収穫したブドウのみを使用して造られ、そのフレッシュさを味わうのが目的のワインです。
長期保存には向かないワインのため、早めに飲んでしまいましょう。
開ける前なら年内までに、開栓後の場合は開けてから数日で飲み切るのがおすすめです。
また、開栓後は冷蔵庫に入れて保存しておきましょう。
軽めの食事とよくあう
ボジョレー・ヌーヴォーで使用されるブドウの品種「ガメイ」は豊かなフルーティさと柔らかい酸味があり、すっきりとした味わいが特徴です。
そのため軽めの食事によく合います。
白ワインやスパーリングワインに合わせる料理と同じと考えればわかりやすいでしょう。
具体的には重たい牛肉料理よりも軽めの鶏肉や野菜、お魚などの料理と合わせるのがおすすめです。
また甘味のある料理にも合い、肉じゃがや角煮などの煮物、タレ味の焼き鳥など和食との相性も抜群です。
さらにボジョレー・ヌーヴォーが解禁される頃にちょうど食べたくなるお鍋料理にもよく合います。
温かいお鍋のあとにひんやりとしたボジョレー・ヌーヴォーを飲むと口の中がさっぱりとしますよ。
ボジョレー・ヌーヴォーを楽しむために知っておきたい豆知識
最後に、さらにボジョレー・ヌーヴォーを楽しむために、知っておきたいボジョレー・ヌーヴォーの豆知識をご紹介します。
解禁日までに、ボジョレー・ヌーヴォーについてさらに詳しくなっておきましょう!
ボジョレー・ヌーヴォーに白ワインはない
ボジョレー・ヌーヴォーに白ワインはありません。
なぜなら「ボジョレー地区で栽培されたガメイ種のブドウを100%使用して造られたワインのみがボジョレー・ヌーヴォーと呼べる」と法律で定められているからです。
ガメイ種は黒ブドウのため、白ワインは造れません。
そのため、ボジョレー・ヌーヴォーは白ワインはなく、赤ワインやロゼワインのみしか存在しないのです。
ちなみにボジョレー・ヌーヴォーはAOP(原産地呼称保護)という法律によって使用するブドウの品種や造り方などが厳格に定められています。
このように、厳しい品質基準が設けられているからこそ、ブランドや価値が守られているのです。
ボジョレー・ヌーヴォーを世界に広めた人物がいる
現在では世界各国で有名となったボジョレー・ヌーヴォー。
もともとは地元やリヨンなどでしか飲まれなかったボジョレー・ヌーヴォーがこれほどまでに有名になったのは、ジョルジュ・デュブッフ氏が世界に広める活動をおこなったからだといわれています。
ジョルジュ・デュブッフ氏はボジョレー・ヌーヴォーの時期になるとよく見かける花柄のラベルを手掛ける醸造家。
はじめは地元やリヨンなどでしか飲まれていなかったボジョレーを、世界中の人々にも飲んでもらいたいと活動を続けました。
ジョルジュ・デュブッフ氏はその功績から「ボジョレーの帝王」とも呼ばれています。
毎年違ったキャッチコピーがつく
ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日が近づくと毎年話題となるのが「キャッチコピー」です。
実はボジョレー・ヌーヴォーは毎年違ったキャッチコピーがつきます。
キャッチコピーには2種類あり、1つは、現地のボジョレーワイン委員会の評価をもとに、フランス食品振興会(SOPEXA)が発表した公式見解。もう1つは、その情報をもとにして、日本で作成されたキャッチコピーです。
ここでは、過去のボジョレーワイン委員会の公式見解をいくつか紹介しましょう。
年 | キャッチコピー |
---|---|
2018年 | 「2017年、2015年、2009年と並び、珠玉のヴィンテージとして歴史に刻まれるだろう 」 |
2019年 | 「天候などの条件は厳しかったが、有望で生産者のテクニックが重要な年」 |
2020年 | 「非常にバランスが取れた爽やかさのある仕上がり」 |
2021年 | 「挑戦の末たどり着いた、納得のヌーヴォー」 |
2022年 | 「太陽に恵まれたヴィンテージ 果実味とストラクチュアの完璧なバランス」 |
過去5年間のキャッチコピーを見ると、その年によって味の特徴が違うことがわかります。
ボジョレー・ヌーヴォーの毎年違った特徴を感じながら味わってみるのも、1つの楽しみ方といえるでしょう。
年に一度のお楽しみ!ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日を覚えておこう
ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は毎年11月の第3木曜日と定められており、2023年度は「2023年11月16日(木)」です。
またボジョレー・ヌーヴォーはその年に収穫されたブドウで造られる新酒のため、他のワインと製造方法や輸送方法に違いがあります。
ボジョレー・ヌーヴォーを美味しく味わうなら、ぜひ冷やしてから飲みましょう。
長期保存に向かないワインなので、できれば年内までには飲み切ると最後まで美味しく味わえます。
ぜひボジョレー・ヌーヴォーの解禁日を覚えて、年に一度しか飲めないワインを楽しみましょう。