新年の幕開けに、玄関周りやリビングを華やかに彩ってくれる花飾り。
日頃はお花を飾る習慣がなくても、お正月くらいは幸先の良い一年を願ってお花を飾る、というご家庭も多いのではないでしょうか?
本記事では、お正月に花飾りをする意味や飾っておくのに最適な期間、花飾りにおすすめのお花について解説していきます。
毎年花飾りをしている方はもちろん、今までお正月に花飾りをしたことがないという方は、ぜひ参考にしてください。
お正月に花飾りをする意味とは?
お正月に花飾りをすることには、どのような意味があるかご存じでしょうか?花飾りの華美な見た目によって気持ちが晴れやかになるのはもちろん、お正月ならではのきちんとした理由があります。
日本の言い伝えでは、お正月になると年神様が各家庭を訪問し、家人達と一緒にその年の幸せや無病息災を祈ってくれるとされています。そのため、花飾りは年神様の滞在中に気持ちよく過ごしてもらえるよう、おもてなしするために行うのです。
また、新年は親戚の集まりや挨拶に訪れてくれる客人も多いことから、来客を歓迎するという目的でもお花を飾ります。
いずれにしても、人の行き来が多く目が届きやすい玄関やお部屋は、いつもと違う雰囲気で演出しておくと、自分も相手も新たな気持ちで一年のスタートを切れるでしょう。
さらに、洗面所やお手洗いといった、人が立ち寄る可能性がある場所をさりげなく飾るのも、気配りができる住人として好印象につながります。
お正月飾りとの違い
同じようにお正月シーズンにまつわる装飾品として、しめ縄や門松などの「お正月飾り」があります。どちらも飾りではあるものの、その目的は明確に違います。
花飾りが年神様や客人をもてなすために飾るのに対し、お正月飾りは年神様を自宅にお招きするために飾ります。いわば、我が家を訪問してもらうための目印です。
年神様は、家の外にあるお正月飾りを頼りにして家々を訪ねるとされています。そのため、お正月飾りを設置する際は、年が明ける前の12月中に玄関先や門の前といった目立つ場所に飾ります。
また、お正月飾りに使われる植物やパーツは縁起物が多いことから、年神様が訪問するための目印としてだけでなく、滞在する間の神聖な場所づくりを行うための結界としての役割も果たしていると言われています。
他にも、お正月飾りには、家族が一年間健やかに暮らせることを願うという意味が込められています。
花飾りはいつからいつまで飾ればいい?
お正月飾りには「一夜飾りはNG」などの決まりがありますが、花飾りには飾る時期に決まりがあるのでしょうか?
ここでは、お正月の花飾りを行うのに良いとされている一般的な期間について、お正月飾りのケースを交えて解説していきます。
花飾りを準備する時期
クリスマスと重なって慌ただしいことが多い年末シーズンですが、新年の飾りつけは28日頃を目安に始めるのが一般的です。また、自宅に神様を迎え入れる催しでもあるので、できれば大掃除が完了して空間が清められたところで行うのがおすすめ。
ただし、年末と言っても、29日は「二重苦」を連想させるという語呂の悪さから、縁起が良くないとされているため避けるようにして下さい。
31日に関しても、一夜漬けならぬ「一夜飾り」として神様に対して失礼であるため、控えるのが無難です。どうしても28日までに間に合わない場合は、30日に飾りつけを終えるようにしましょう。
花飾りを片付ける時期
お正月飾りは、「松の内」と呼ばれる1/1~1/7(地域によっては1/15)の期間が明けたら片付けるようにしましょう。
また、その年の飾りは翌年には持ち越せないしきたりのため、近所に神社があればそこでお炊き上げをしてもらいます。近くに神社がない場合は、白い紙に包んで、お清めの塩を振ってから処分するようにして下さい。
一方で花飾りの場合、処分する時期や方法については特に決まりはありません。
生花ですので、お手入れが上手な方で長持ちするようであれば、そのまま飾っておいても問題ないでしょう。萎れたり傷んできたりしたら、ハサミなどで短くカットして紙に包んでから処分します。
新年を一緒に迎えた大切なお花ですので、最後まで丁寧に扱ってあげましょう。
お正月に飾ると縁起がいい植物9選
新年に飾るなら、できるだけ縁起がいい植物を飾りたいですよね。
この項目では、お正月に飾ると縁起が良いとされる植物の代表的なものを9種類ご紹介します。花飾りを選ぶときの参考にしてください。
松
縁起物の代表格である「松竹梅」の筆頭であることからも分かるように、松は古来より縁起が良い植物として親しまれてきました。
多くの植物が秋から冬に向かうにつれて葉を落としていく中で、四季を通じて緑の葉を絶やさないことから神聖視され、しばしば不老不死や長寿の象徴とされます。
また、名前の由来ともされている「神を待つ」という意味から分かるように、神が宿る木として、神社仏閣への奉納にも用いられてきた由緒正しい植物です。
竹
竹も、松と同様に常緑の植物であることから、古くから縁起が良いものとされてきました。また、生長スピードがはやく、尚且つまっすぐに上へと伸びるため、強くてしなやかな生命力の象徴としても考えられています。
不浄を防ぐ役割があるとして地鎮祭などで神聖なものとして扱われる一方、食用や、日常的に使う道具の材料にも用いられるなど、私達の生活とも深い関わりを持ってきた植物です。
梅
お正月明けのまだ寒い時期から花を付ける品種もある梅。年賀状の挿絵などにも使われることが多く、梅と言えばお正月というイメージを持っている方もいるのではないでしょうか?
一年のうち、はやくに花を咲かせる姿から、強い生命力や希望を象徴する植物として、縁起が良いとされてきました。種類によっては紅白それぞれの花を咲かせる点も、縁起物として好まれている理由です。
菊
仏花のイメージが強い菊ですが、実は縁起物の一つでもあります。
豊かな香りと気品ある姿から、邪気を払うと共に不老長寿の役割があると考えられてきました。そのため、お正月だけでなく神仏へのお供えにも用いられることが多く、古代中国では薬草としても活用されていた歴史があります。
近年では、品種改良によって色とりどりの花弁が生み出され、その魅力が再評価されています。
千両
つやつやとした赤い実を房状に付ける姿が富や繁栄を連想させることから、千両と名付けられたこの常緑樹もまた、縁起物として用いられます。
お正月には欠かせない存在であり、吉事を好む人々に古くから親しまれてきました。赤い実の他にも、オレンジや黄色といったバリエーションが存在します。
同じように赤い実を付ける縁起物として万両 がありますが、こちらは寒さに弱いため関東より北の地域では育ちにくく、流通量が少ないのが難点です。
南天
名前の響きが「難を転ずる」に通じるとして、縁起が良いとされる南天。
魔除け・厄除けといった効果があると考えられ、不浄を払うためにその土地の鬼門と呼ばれる方角に植えられることが多い植物です。
ふんだんに実った小さく赤い果実が富を連想させるとして、お正月の飾りにも用いられ、彩りにアクセントを添えてくれます。
また、観賞用だけでなく、中国では果実や樹皮などに含まれる成分に薬用効果があるとして活用されているほか、日本でも名前を冠したのど飴が販売されています。
水仙
古くから日本だけでなく世界中で愛されてきた水仙も、お正月に相応しい縁起物です。その美しい佇まいから、ギリシャ神話に登場するナルシスが学名の語源となったほど。
冬場に強くたくましく花を咲かせるその姿から、縁起の良い花と言われています。 また、中国でも「ラッキーフラワー」として魔除けとされており、玄関に飾ったりお正月に飾ったりされています。
蘭
蘭は高根の花として、庶民ではなかなか手が出しにくい高級品でした。そのため、お正月には高級な花を飾って年神様をお迎えし、その家の繁栄を願うという風習が生まれたと言われています。
特に、胡蝶蘭という品種は花弁が蝶のように見えることから幸福が舞い込むとされ、おめでたい時の贈り物としても親しまれています。さらに、他の花と比べて水やりの頻度が少なく済み、長持ちしやすい特徴を持っているため、忙しいお正月の時期にはぴったりと言えるでしょう。
葉牡丹
別名「花キャベツ」と呼ばれる葉牡丹は、菜の花と同じアブラナ科アブラナ属の植物です。
春になると黄色い花を咲かせますが、花が少なくなる冬の時期には花弁の多い牡丹を連想させる鮮やかな葉を広げ、尚且つその色合いが紅白を帯びることから、縁起物としてお正月の飾りに用いられてきました。
また、葉が幾重にも重なり合っている姿が、好事が重なる現象を表しているとして人々に親しまれています。
お正月におすすめのその他のお花
古くからお正月に飾ると縁起が良いとされ、ご先祖様達にも親しまれてきたお花はたくさんありますが、伝統にとらわれず、自分や家族が好きなお花をプラスして飾るのもおすすめです。
ここでは、前項で紹介したもの以外にも、お正月の雰囲気にぴったりなお花を紹介します。
日本を感じるお花
日本のお正月らしく「和」を演出したい場合は、古来より日本に自生する種類のものを選ぶと良いでしょう。
名前も縁起の良い「福寿草」をはじめ、女性の立ち振る舞いの代名詞にもたとえられる「百合」、春の訪れを告げる「雪割草」などがあります。
装飾全体のバランスやボリューム感が欲しい場合は、緑を入れるのもおすすめ。後ろ暗いことがないとされるシダ植物の裏白や、しなやかで折れにくい良い柳など、縁起物として用いられることが多いです。
和風の花というと地味な印象を持つ方もいるかもしれませんが、鮮やかな品種のものもあり、組み合わせ次第で華やかな印象になるので、一度試してください。
洋花を組み合わせてもOK
お正月は昔から続く伝統行事ではあるものの、現代ではそれほど和にこだわりすぎる必要もありません。洋風のお花が好きだという方は、先に紹介したものに加えて自分らしくアレンジするのもおすすめです。
子ども達にも好まれる「チューリップ」や、春の訪れを告げる「フリージア」、カラフルな種類が多い「スイートピー」などが、お正月の花飾りとして人気が高いです。
メインの花ばかりでメリハリに欠けると感じたら、「アリッサム」のような小ぶりで花束感があるものを添えると、主役を引き立ててくれるでしょう。
お正月の花飾りには「啓翁桜」もおすすめ
春を感じるお花として、代表的なのが日本の桜。通常、私達が目にする品種は3月下旬~4月上旬に開花するものが多く、お正月には向いていないと思われるかもしれません。
そこで、お正月に桜を飾りたいなら、「啓翁桜」という品種がおすすめです。
啓翁桜は、寒い時期でも開花できるよう、江戸時代に栽培方法が編み出されたと言われており、年明けの早春から満開の桜を楽しむことができます。
薄紅に色づいた花弁からは優雅な香りが漂い、一足早い春の気配を感じさせてくれるでしょう。
生産地である山形県は、その気候条件を活かしていち早く啓翁桜の早期栽培に取り組み、現在では全国トップのシェアを誇っています。
お正月の花飾りの1つとして、啓翁桜を選んでみてはいかがでしょうか。
【啓翁桜】 1箱 80cm 8本
お正月に花飾りをして年神様とお客様を迎えよう
花飾りは元来、その年の健康や幸福を願うと共に、自宅への来訪者をもてなす意味で行われてきました。
また、それだけではなく、実際に見る人の心も和ませてくれます。何かと忙しい年末を送って、ほっと一息つける年明けをきれいなお花と一緒に過ごせたら素敵ですよね。
自分好みのお花を飾って、晴れやかな気持ちで新年を迎えましょう。