「ダイエットしたいけれど、お酒はやめられない」というお酒好きの方も多いのではないでしょうか?
ダイエット中でも、お酒を完全にやめる必要はありません。しかし、ダイエットの効果をあげるためには、「休肝日」をつくることがおすすめです。
この記事では、休肝日をつくることがダイエットに効果的な理由や、休肝日のメリット、ダイエット中にお酒を飲む場合の注意点について解説します。
休肝日をつくることがダイエットに効果的な5つの理由
休肝日をつくると、なぜダイエット効果があがるのでしょうか?
ここでは、休肝日がダイエットに効果的な理由を5つご紹介します。
体内のエネルギーを消費しやすくなる
休肝日をつくるとダイエット効果がアップする理由を知るには、まず肝臓の働きを理解しましょう。
肝臓の主な役割は、私たちの体にとって重要な「代謝」「胆汁の生成・分泌」「解毒」の3つです。
代謝を消費する臓器のなかで、最もエネルギーを消費するのが肝臓です。呼吸や体温調整をするために最低限必要となる基礎代謝のうち、約5分の1が肝臓で消費されています。
お酒を飲んでいないときは、肝臓の代謝が正常に行われますが、お酒を飲んでアルコールが体内に入ると、肝臓はアルコールの解毒を最優先します。
解毒が最優先されると、代謝の消費が後回しとなるため、糖質や脂質がなかなか消費されません。その結果、体脂肪として蓄積されてしまうおそれがあります。
休肝日をつくることで、解毒によって後回しにされていた代謝が消費されるため、体内のエネルギーを消費しやすくなり、ダイエット効果が期待できます。
食べ過ぎを防ぐ
お酒を飲むときに、一緒におつまみやスイーツなどを食べる方は多いでしょう。しかし、お酒にあう食べ物には、高カロリーなものや味が濃いものが多いため、食べ過ぎは危険です。
また、アルコールには、味覚を鈍感にしたり、満腹中枢を麻痺させたりする作用があります。お酒を飲むとつい食べ過ぎてしまうのは、こうしたアルコールの食欲増進効果が原因です。
さらに、アルコールを摂取すると、体内でアルコールを分解するために糖分が多く使われます。
お酒を飲んだあと、締めでラーメンなどの炭水化物を食べてしまう方も多いのではないでしょうか。これは、血糖値が下がることで体が反応し、炭水化物を欲するようになるためです。
このように、食べ過ぎによって1日の摂取カロリーをオーバーしてしまうことも、お酒を飲むと太りやすいと言われる理由です。
休肝日を設けることで、食事やおつまみの量をコントロールしやすくなり、塩分や糖分、脂質の摂り過ぎ防止につながります。
血糖値が上昇するのを防ぐ
お酒の種類によっては、糖質が多く含まれています。特にビールや日本酒、梅酒は糖質の多いお酒です。
糖質を摂取すると血糖値が上がりますが、このとき、血糖値を下げるために膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンの働きによって、一定の血糖値が保たれる仕組みです。
しかし、糖質を過剰に摂取すると、インスリンの分泌が追いつきません。分泌が追いつかずに糖質が余ると、糖の一種である「グリコーゲン」と「中性脂肪」に合成され、中性脂肪は体内に蓄積されていきます。
お酒を飲まない休肝日があれば、糖質の摂取を制限できます。血糖値の上昇を抑えられるため、ダイエット効果が高まるでしょう。
お酒を飲んだときのカロリーを抑えられる
「お酒はカロリーが低いから、お酒と一緒に食べるおつまみを制限すれば大丈夫」と考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、なかにはカロリーが高いお酒もあります。
1杯あたりのカロリーが高いお酒は、焼酎やビール、梅酒、缶酎ハイなどです。また、シロップやジュースを使用したカクテルもカロリーが高くなります。
おつまみや食事に気をつけていても、お酒自体のカロリーが高ければ、多く飲むほど太りやすくなってしまいます。
休肝日をつくることで、お酒分のカロリー摂取量を抑えることができます。
ただし、お酒を控えたからといって、カロリーの高いジュースを飲んだり、間食の回数を増やしたりすると、逆にカロリーオーバーになってしまうおそれがあるため注意してください。
むくみを予防する
アルコールを過度に摂取すると、血液中のアルコール濃度が高くなってしまいます。
アルコール濃度が高くなると、血管が膨張し、静脈やリンパによって行われる水分の排出がうまくできません。そのため、むくみやすくなると言われています。
また、お酒と一緒に食べるおつまみには、塩分濃度が高いものが多いです。
塩分の多いものを食べると、体内の塩分濃度を一定に保つために、体は水分を溜め込もうとします。体内に水分が多く含まれるようになるため、むくんで見えるようになります。
休肝日をつくれば、アルコールの摂取量と同時に塩分の摂取量も削減可能です。
体重の減量には影響がありませんが、アルコールと塩分の両方が減ることでむくみの予防につながり、スッキリして見える効果は期待できるでしょう。
ダイエット効果以外の休肝日のメリット
休肝日がダイエットに効果がある理由を説明してきましたが、休肝日をつくることによって得られるメリットは、ダイエットだけではありません。
ここでは、ダイエット効果以外の休肝日のメリットについて解説します。
生活習慣病を防げる
休肝日をつくることで、生活習慣病の予防につながります。
お酒を毎日飲むことが習慣となっている方も多いのではないでしょうか。しかし、飲酒が習慣化すると、肝臓に負担がかかりやすくなり、肝障害や糖尿病、高血圧、膵炎、脂質異常症などの生活習慣病を発症するリスクが高まってしまいます。
また、過度な飲酒はアルコール性肝炎を引き起こし、肝硬変や肝臓がんへと進行する危険性もあります。
生活習慣病のみならず、アルコール依存症などの精神疾患を患うリスクも発生するため、毎日の飲酒には注意が必要です。
お酒を飲まずに肝臓を休ませる休肝日をつくることで、このような病気を引き起こすリスクを低減できるでしょう。
節約にもつながる
休肝日を設ければ、お酒にかかる費用の節約が可能です。
ビールを毎日2本(1本200円と仮定)飲む場合、1週間で14本(2,800円)、1カ月では56本(11,200円)ものビールを飲んでいることになります。
一方で、休肝日として1週間に3日飲まない日を作った場合は、1週間で8本(1,600円)、1カ月では32本(6,400円)です。
休肝日をつくると、1カ月で24本ビールの量が減り、4,800円も節約できることが分かります。
年間で考えると57,600円も削減できるうえに、おつまみ代の節約も可能です。
(※上記の計算は、1カ月4週間で計算しています。)
居酒屋などに飲みに行っている方の場合は、飲みに行く回数が減ることで、さらに大きな節約につながるでしょう。
睡眠の質がよくなる場合も
休肝日には、睡眠の質をよくするメリットもあります。
アルコールを摂取すると、睡眠中に以下のような悪影響を与える場合があります。
- アルコールの利尿作用により、トイレに行く頻度が多くなる。
- 体内から水分が出ていくため、喉が乾きやすくなる。
- アルコールの筋弛緩作用(筋肉の緊張を緩和するための作用)により、イビキをかきやすくなる。
- 入眠作用時間が切れ、その後代謝されてできる覚醒作用で浅い眠りが増える。
アルコールには入眠作用があり、一時的には寝つきがよくなりますが、3時間程度で切れてしまうことが特徴です。その後、アセトアルデヒドの覚醒作用により、深い眠りが減っていき、浅い眠りが増えるようになります。
眠れないときにアルコールを摂取して寝ようとする方もいますが、逆に睡眠の量や質を下げてしまっているおそれがあるため、注意してください。
ダイエット中に休肝日をつくる場合のポイント
いざ休肝日をつくろうとしても、どのようなタイミングや方法で行えばよいのか迷う方もいるでしょう。
ここでは、ダイエット中に休肝日をつくるときのポイントや注意点について解説します。正しい方法で休肝日を設けて、ダイエットを成功させましょう。
休肝日の予定を事前に決めておく
まず、休肝日の予定を事前に決めておくことがポイントです。予定が決まっていれば、急な飲み会へのお誘いや、自分自身の誘惑に負けることがありません。
「休肝日=ダイエットする日」という意識を持つと、モチベーションも上がりやすくなるでしょう。
さらに、繰り返し休肝日を設けていくことで、習慣化につながり、長期的に見てもよい方向へ進んでいけるようになります。
アプリなどで飲む量を管理する
休肝日を決めたら、アプリなどを活用して、予定どおりに休肝日を作れたかどうかや、休肝日以外の日に飲んだお酒の量を記録しましょう。
飲んだお酒の量をカレンダーに記録したり、グラフ化したりできるアプリもあり、1カ月や1年単位でお酒の量を確認できます。見
飲む量や休肝日を目に見える形で管理することで、よりモチベーションが上がり、継続しやすくなります。
休肝日に食べ過ぎないように気を付ける
休肝日に食べ過ぎないように気をつけることも、ダイエットを成功させるためのポイントです。
せっかく休肝日をつくってお酒をやめているのに、そのストレスで食べ過ぎてしまっては逆に太ってしまう要因となるため注意しましょう。
脂質や糖質が多く入っているものは控え、ビタミンやタンパク質などの栄養素を積極的に摂るようにしましょう。
バランスのよい食事をとり、適度に運動をすることが大切です。食べ過ぎに注意しながらも、過度な食事制限は避け、上手に休肝日を過ごしてください。
ダイエット中にお酒を飲む場合に気を付けたいこと
休肝日をつくることに加えて、ダイエット中にお酒を飲む場合は以下の点に注意しましょう。
適切な飲み方を知っておくことで、お酒を楽しみながら理想の体型づくりを目指せますよ。
水分補給をする
お酒を飲むときは、水分補給をしっかりと行いましょう。
体内のアルコール濃度が高くなると、脳や肝臓の働きに悪影響を及ぼすおそれがあります。水分を補給することで、胃の中のアルコール濃度が薄まるため、体が栄養をしっかりと消化し、アルコールが中性脂肪に変わるのを防ぐ効果が期待できます。
お酒の合間に水を飲めば、お酒を飲むスピードがゆるやかになり、アルコールの摂取量自体も削減できます。
また、脱水して喉が乾いている状態でいると、食欲と勘違いして食べ過ぎにつながります。翌朝の脱水を防ぐために、寝る前にも水をしっかりと飲みましょう。
糖質が高いお酒を避ける
ダイエット中は、糖質が高いお酒を控えましょう。
なかでも、ビールには糖質が多く含まれているうえに、アルコール度数が低いため、つい飲みすぎてしまう傾向があります。
さらに、ビールに含まれる炭酸ガスや苦味成分には食欲を増進させる作用があり、脂質や糖質、塩分が高いものを食べ過ぎてしまうおそれもあります。
酎ハイや焼酎は糖質が低いお酒ですが、甘いジュースやシロップで割ると太りやすくなるため注意が必要です。
お酒を購入する際は、原材料やカロリー量、糖質量の表示を確認しましょう。
糖質が多く含まれているお酒や、加糖されているお酒を避けることで、ダイエット中でもお酒を楽しめます。
揚げ物を避けてタンパク質の多いおつまみにする
ダイエット中にお酒を飲むときは、一緒に食べるおつまみやスイーツの種類にも気をつけましょう。
揚げ物や味の濃い食べ物は、脂質や糖質、塩分が多く含まれており、太りやすくなってしまいます。
お酒と一緒におつまみを楽しみたい場合は、タンパク質が多く含まれている食品を選ぶのがおすすめです。冷奴や枝豆、むね肉のたたきや塩味の焼き鳥などがよいでしょう。
低カロリーかつ高タンパクの食べ物やおつまみを選ぶことで、お酒を楽しみながら無理なくダイエットを継続できます。
適量でやめておく
ダイエット中にお酒を飲むときは、適量でやめておくことも大切です。
アルコールを摂取すると肝臓で代謝されますが、飲みすぎるとアルコールの一部が中性脂肪に変化し、体内に蓄積されやすくなるため、注意が必要です。
つい飲みすぎてしまう方は、水を飲みながら、お酒を飲む量を調整しましょう。
また、早いペースでお酒を飲むと、飲みすぎてしまう可能性が高いため、ゆっくりと味わいながら適量を飲むように心がけることも大切です。
休肝日を活用してダイエット効果をあげよう
ダイエット中でもお酒をやめる必要はありませんが、ダイエットを成功させるには休肝日をつくることがおすすめです。
休肝日をうまく活用すればダイエット効果が高まるほか、生活習慣病の予防にもつながります。
ただし、無理な食事制限をしたり、過度な休肝日を設けたりすると、ストレスがたまって継続できなくなるおそれがあります。
無理のない程度に休肝日を習慣化し、ダイエット効果をあげていきましょう。